「その人だけの使命を持って生まれてくる」清水 さつき | NPO法人コモンビート
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「その人だけの使命を持って生まれてくる」清水 さつき

「その人だけの使命を持って生まれてくる」清水 さつき

「地面に近い生活っていいなって思う」

茨城県石岡市の自然豊かな地に東京から移住した清水さつきさんはこの日、夫の雅宏さんと一緒に家からほど近いやさと農場を訪れた。
やさと農場は、オーガニック野菜、豚肉や卵の生産の他、農体験や様々なイベントも開催している。『暮らしの実験室』をコンセプトに、”暮らしを自らの手でつくりだす場”を目指しているユニークな農場だ。
スタッフひとりひとりが楽しみながら生き生きと仕事をしているのが印象的である。
彼女は明るく大きな笑顔で、やさと農場との出会いについて語り始める。


「友達の誘いで、やさと農場で行われたイベントに参加したのがきっかけだった。
その後、しばらく農場にいく機会がなかったんだけど、やさと農場でツリーハウスを作るという企画がもちあがり、まさ(雅宏さん)に声がかかった。
その時すでにまさと付き合っていたので、私もまさについて、久しぶりにやさと農場に行った。なぜか私は『ただいま~』って農場に入ってたのね。そしたら農場スタッフは、一回しか会ったことのない私を『さっこちゃんおかえり~』って当たり前のように迎えてくれた。その温かくて自然な感じがすごく嬉しくて。その後、ツリーハウスが出来上がるまでの半年間、月一回のペースで農場に通った。でもその時はこの地に住む事になるなんて、思いもしなかった」
そんな彼女達がなぜ移住する事になったのか…。
「ツリーハウスに使う材木を安く仕入れようと、まさが農場のすぐ近くの森林組合を訪ねた。その時に知り合った職員の方が、木の上の作業の仕方などを親切に教えてくれて縁ができた。
その頃ちょうど、まさは東京でのインテリアデザインの仕事を辞めていたから、住む場所と仕事を探してたのね。そしたらその方が『家あるよ』『仕事あるよ』とお世話してくれて…。気付いたら移住が決まっていた」
雅宏さんのプロポーズを受けていた彼女も、共に移住を決意する。
そして彼女は今、『やさとカフェ』というコミュニティに参加している。
「農場のスタッフが声をかけてくれたのがきっかけで…『幸せの経済学』っていう自主上映映画の鑑賞会とワークショップを企画した。近所の廃給食センターを会場にして、80人くらいが参加してくれた。その映画は、その土地にあるもの、その土地に住む人を生かす選択について提唱していて、共感できることが多かった。私も、ここに暮らす人、ここで生まれるものが、よりよく繋がり生きる場をつくっていけたらいいなと思って、『やさとカフェ』の立ち上げに関わり参加している。カフェといっても、今はまだカフェの実態が存在するわけじゃないんだけどね」
イベントを開催すると毎回多くの参加者が集まるという。
しかし地元の人よりも外からの参加者が多いのが現状のようだ。
「地元の人とのつながりをもっと強くしていきたい。まさは、今は森林組合に勤めているから、地元の人に顔がきく。少しずつ地元の人にも広めていけたらいいな。でも焦ってはいない。ゆっくりのんびりやっていきたい」
そして彼女は移住する前と後の気持ちの変化について、愛しそうに語る。
「私はここにくるまで、都会っ子だった。ずっとマンション、地面から遠いところで暮らしていた。
こちらに移住が決まった時、正直不安や迷いがあった。便利さを失う怖さもあったし、実家暮らしに甘えてたから、自分には基本的な生きるチカラが足りないと思ってた。でも来てしまったらパラダイス。今は平屋暮らしだから、地面から近い生活っていいなって思う。家を出ると田んぼが広がっているんだけど、そのあぜ道を毎朝散歩するのが、至福の時」
「その人だけの使命を持って生まれてくる」清水 さつき

「小さなカードにその人を表すお手伝いがしたい」

彼女は主婦業と『やさとカフェ』の活動をするほか、デザイン事務所で働いていた経験を生かし、名刺屋を本格的に始めるという。
名刺屋と言えども世間一般の名刺屋とは異なる。
彼女独自の感性と発想力でとても楽しい名刺が創られている。
その名も、”しめいのめいし屋さん”だ。
「この”しめい”には、『氏名』と『使命』のふたつの意味がある。もともとは、友達に名刺を頼まれたのがきっかけだった。せっかく創るから、その人らしさを出したいと思って、その人の生い立ちから何を大切にしているかなど…何度かインタビューを重ねて一度、名刺として形にする。それを見てもらうと、その人自身が、自分を表すのにそこに足りないものや余計なものがあることに気付き、最終的なデザインを一緒に考えていく。形にして初めて、自分自身が見えてくることを喜ばれたときに、とてもやりがいを感じて、これからも続けたいって思っている」
そして彼女は、まっすぐ前を見つめこうも話す。
「この世に生きるすべての人が、その人だけの使命を持って生まれてくると私は思う。それに気付いてほしいし、私自身も知りたい。
私は、小さなカードにその人を表すお手伝いをしたい」
そんな彼女を表す言葉があるとすれば、『愛が溢れる人』だ。
愛という言葉を使うのは、ストレート過ぎてなかなか勇気が必要だが、彼女にはとても似合う。彼女は、自分の大切な人や場所に愛を伝える事を恐れない。それは決して計算されたものでなく、彼女の内面から溢れだした自然なものなのだ。
そんな彼女の想いが人を幸せにする。
今日も彼女は、彼女自身の使命を楽しみながら生きる。

清水さつきさん

清水 さつき(しみず さつき)

ラジオ番組で紹介されたコモンビートの活動に興味を持ったのがきっかけで『A COMMON BEAT』5期プログラムにキャストとして参加。6期プログラムではキャスト兼スタッフを務める。

2010年冬に茨城県石岡市に移住。
現在は『やさとカフェ』というコミュニティに参加し、月2回ほど、やさと農場でお茶を飲みながら語りあったり、不定期でイベントを開催している。

小さなカードにその人の使命を表す”しめいのめいし屋さん”が少しずつ始動している。

やさとカフェ
さこやまのこしあん.(清水さつきブログ)