人生アンサンブル_16 私も、仲間も、ここまでできる。市民ミュージカルが育む、「わたし」というリーダー。 | NPO法人コモンビート
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人生アンサンブル_16 私も、仲間も、ここまでできる。市民ミュージカルが育む、「わたし」というリーダー。

ダイバーシティ&インクルージョンは、わたしとあなたのこと──。コモンビートは、「わたしとあなた」という一人ひとりを起点にして、個性を響き合わせ、多様な価値観を認め合うことを目指しています。主要な活動である100人100日ミュージカルプログラムの参加者が、具体的に何を経験し、学び、そして仕事や人生にどんな変化を起こしているか。「人生アンサンブル」では、参加者の生の声をもとに、コモンビート広報室がお届けしています。


噛めば噛むほど味がある、プログラム

この夏、コモンビートのミュージカルで舞台に立ったけど、ついていくのに必死で力を発揮しきれなかった、つまり消化不良だった──。今回の人生アンサンブルの主人公は、こうした強い思いを持ち、1年で2回目のミュージカル(57期東京・59期東京)の舞台に立つことを決めた「ちょっこ」です。「消化不良」の意味合いを、彼女にもう少し具体的に教えてもらうと、次の言葉が返ってきました。

「ダンスや歌はもちろんだけど、コモンビートのミュージカルの舞台に込められたストーリーを噛み締めたいと思いました。それに、年齢、ジェンダー、職業、障害、言語など、これだけ多様な仲間がいることの意味を分からないままただ練習に必死だったのが前回でした。だから今回は、もっと余裕を持って仲間のことを知りたい、この多様性を味わいたいと思いました」

ちょっこは、大手企業で企画職として活躍するビジネスパーソン。そんな彼女が、「私たちなら、ここまでできる。市民が集い、個性を響き合わせ、共通の鼓動を奏でる様子を見せたい!」と穏やかな表情で、しかし目に力を込めて語ってくれました。ちょっこは、どういう経緯でコモンビートのミュージカルに参加したのでしょうか?

「もともと、学生の頃に車椅子ダンスをしていて、表舞台で表現することが好きでした。社会人になって表現から離れて寂しいなと思っていた頃に、コモンビートのミュージカルプログラムスタッフに誘われて体験会に参加したのが始まりです。」

最初は何気なく参加した体験会、しかし彼女は想定外の出会いに驚きました。それは、市民が集まり、NPO活動としてミュージカルを実践している力強さでした。プロのミュージカルに技術は及ばないけど、それとは違う確かな魅力がある。ちょっこは迷わず参加を決め、しかも今回は「仲間のことをもっと見たい」と思い、プログラムの運営スタッフも兼務しています。さあ、彼女の現在地を見ていきましょう。

前回初出演した、57期東京プログラムの公演の様子

ひよこだった私が、リーダーに

1年で2回目のミュージカルに臨むちょっこに、前回と今回の違いを尋ねました。すると、返ってきた答えは、「成長」の一言に集約される次の言葉でした。

「1回目のミュージカルでは、ついていくのに必死でした。何をすれば良い舞台になるか、仲間と協働できるか掴みきれず、指示どおりに動く『ひよこ』でした。ダンスをしていた私にしたら、『こんなはずじゃなかった!』という気持ちです。

2回目の今は、仲間たちに対して自ら発信することが増えています。これまでの待ちの姿勢から、主張の姿勢に変わりました。以前は『間違っていたらどうしよう』と不安でしたが、今はそういう不安がある仲間の気持ちに寄り添って、『こうしたら良いかも』と声をかけて、対話を通じてミュージカルを創っています

こうして視野が広がり、余裕を持って臨めるようになった彼女は、「多様な価値観を認め合う」ことへの解像度が上がったそうです。コモンビートの目指すD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の例えに、「れぞれのフルーツを混ぜて同じ色にするミックスジュースではなく、違いがそのままの形で互いに引き立たせ合っているフルーツポンチ」というものがあります。ちょっこは、その意味が腑に落ちているそうです。

同じ舞台に立つ仲間には年齢、職業、国籍、価値観、障害の有無など、様々な違いがあります。チームのリーダーとして、ちょっこはメンバーそれぞれに対しての声かけやコミュニケーションを重ねるなかで、「自分の力が試されている」と感じています。また、何より、そんな仲間と、良いミュージカルに向けて議論したり工夫する時間が愛おしくて、こういう出会いは普通では得られないと感じていました。

キャスト兼スタッフとして関わる、59期東京プログラムの練習での様子

100日で、これだけのことができるぞ!

間もなく本番を迎えるちょっこに、今の心境を聞いたところ、「最初は見ず知らずだった市民が集まり、たった100日で初めてのミュージカルに挑戦し、完成させる。そんな人のエネルギーやパワーを感じてほしい」と答えてくれました。さらに観客に対しては、「どういう感想でも大丈夫なので、後から思い出せる舞台にしたい」とのことです。

彼女にビジネスや私生活で、今回の経験はいきそうかを尋ねたところ、「もちろん」と即答されました。どうやらこれまでは、仕事においてもフォロワーとして動くことが多かったようです。しかし、コモンビートのミュージカルでたまたまリーダーというポジションを与えられたことで、チームビルディングのやり方、自分にとってのリーダーのあり方などを学んだとのことです。彼女から、「これからも、自分を高めるコミュニティに参加したい。向上心をずっと持っていたいので、それを盤石にしたコモンビートは、すごく熱い」と締めくくりの言葉がありました。

市民どうしが、エンターテインメントによってつながり、多様な価値観を認め合う──。ちょっこは、「決してハードルは高くない」と言います。舞台を観る、舞台に立つ、コモンビートを応援するなど、あなたのアクションをお待ちしています!


ちょっこをはじめとした個性豊かなキャストが出演するミュージカルの情報はこちら!

■ミュージカル「A COMMON BEAT」第59期東京公演

日程:2月10日(土)・11日(日)
会場:北とぴあ さくらホール
詳細:https://musical-acb.com/
観劇サポート(音声ガイド・字幕)あり