2026年1月14日、芦屋市教育委員会の協力のもと、兵庫県芦屋市立岩園小学校にて、6年生約50名を対象にした探究授業「表現ってなに?」が実施されました。
芦屋市教育委員会がSTEAM教育における「Art(表現)」の実践を模索する中で実現した本授業では、NPO法人コモンビートが外部講師としてミュージカルワークショップを担当。子どもたちとともに、先生自身も「表現」を体感する機会となりました。
ミュージカルワークショップを通して子どもたちが身体を動かした後、先生たちだけで行われた対話の時間。そこで語られたのは、日々の教育現場にあるリアルな葛藤と、「表現」という言葉の捉え直しでした。
「自由」と「指導」のあいだで揺れる現場

対話の中で、こう話してくれた先生がいました。
「“自由にしていい”と“こうしなさい”の境目が難しい」
子どもに委ねたい気持ちはある。
しかし、どこまで任せてよいのか分からない。
その迷いの中で、授業はいつの間にか
「こうするべき」という枠をつくってしまう。
一方で、この日の子どもたちは違いました。
間違えても気にせず、笑いながら、思い思いに身体を動かしていく。
先生たちはその姿を見てこう感じます。
「今日は弾けていた。それは“自由”だったからではないか」

「評価できないもの」をどう扱うか

もう一つの大きなテーマは、「評価」でした。
「どうしても“できる・できない”で見てしまう」
「自由な表現の評価基準がわからない」
評価が前提となる学校教育において、
表現活動は常に難しさを伴います。
そんな中、ある先生がコモンビートのスタッフに問いかけました。
「今日、子どものどこを見ていましたか?」
返ってきたのは、想像とは異なる視点でした。
「一人の子が、いろんな子と繋がっていく様子を見ていました。
元気な子には一緒に踊り、恥ずかしそうな子にはその子に合わせて関わっていた。
その“関わり方”がとても印象的でした」
うまく踊れたかではなく、
誰とどう関わろうとしたか。
子どもたちを“スキル”ではなく、
“関係性の中での在り方”で見る視点に、先生は驚きを覚えたそうです。

先生もまた「表現者」である
対話の中で浮かび上がった、もう一つの気づき。
「先生もパフォーマーである」
教壇に立つということは、単に知識を伝えることではありません。
声のトーン、間の取り方、身振り手振り、空気のつくり方。
そのすべてが、子どもに影響を与える“表現”です。
「言葉を使わずに伝えることや、興味関心を引く演出が必要」
授業そのものが、一つの表現の場である。
そんな認識が、先生たちの中で共有された時間でもありました。
「表現」の再定義が起きた瞬間

この時間を通して、「表現」という言葉の意味も変化していきます。
これまでの表現は、
歌やダンス、作品制作といった“特別なもの”。
しかしこの日は違いました。
「手をあげることも、話すことも表現だと思った」
さらに、こんな声もありました。
「今日は“気持ち”を表現しているように感じた」
スキルではなく、内側から自然に出てくる感情。
そのまま外に出ること。
表現とは、本来そういうものだったのではないか。
そんな原点に立ち返る時間となりました。
子どもの変化が、問いを深める

先生たちの印象に強く残ったのは、子どもたちの姿でした。
普段見せない表情。
ためらっていた子が前に出る瞬間。
仲間を応援する空気。
「こんな顔、初めて見た」
また、こんな声も上がりました。
「受験という壁に向き合う子どもたちにこそ、
こういう時間が必要なのかもしれない」
成果や正解を求められる環境にいる子どもほど、
評価から解放される時間の価値は大きいのかもしれません。
「単発で終わらせない」ために
今回の取り組みにおいて、コモンビートが外部講師として関わったことも、大きな意味を持っていました。
「教員はどうしても教員の世界になってしまう」
「外部講師が来ることはありがたい」
異なる視点が入ることで、教室に新しい風が吹き込まれる。
「教育は役割分担」という言葉の通り、
学校の外とつながることで、教育の可能性は広がっていきます。
対話の最後、多くの先生が口にしたのはこの言葉でした。
「単発で終わらせたくない」
今回の取り組みを受け、2026年3月30日には芦屋市教育委員会と岩園小学校、教育関係者によるリフレクション会議が実施されました。
対話の中で繰り返し語られたのは、
「この時間を一過性で終わらせてはいけない」という共通認識でした。
- 大人自身が殻を破りきれていない
- 学校という空間に既にある“規範”の存在
- 新しい風が入りにくい構造
「子どもの変化の前に、大人が変わる必要があるのではないか」
そんな問いが投げかけられました。
コモンビートは芦屋市教育委員会とともに、
これからもその可能性を探求し続けていきます。
こんな学校におすすめです
- キャリア教育に“体験”の要素を入れたい
- 探究学習をもっと生徒主体にしたい
- 表現活動を通して自己肯定感を育みたい
- 多様な大人と出会う機会をつくりたい
プログラムの詳細設計や導入事例については、個別にご説明いたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
