ルールではなくマナーで向き合おう 「See the difference〜みんな、いつかは障がい者!?正解のない答えを探して〜」開催レポート | NPO法人コモンビート
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ルールではなくマナーで向き合おう 「See the difference〜みんな、いつかは障がい者!?正解のない答えを探して〜」開催レポート

11月24日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくためのイベント「See the difference」の第6回が開催されました!
今回は、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会 認定講師の樋口彩夏さんをゲストとしてお迎え!樋口さんからまずご紹介いただいたのは、ご自身の生い立ちから病気の発覚、そして今にいたるまでの物語でした。

中学生の時に珍しい小児がんの一種になり、突然歩くことができなくなったという樋口さん。「動く足が痛いならまだいいけど、動かない足の痛みは耐えられない」「助かったとしても一生寝たきりになるかもしれない」「どんな状態になっても命さえ助かればそれでいいのだろうか」そんな、普段なかなか突きつけられることがないような状況やセリフに、参加者のみなさんもお話にぐっと引き込まれていた様子でした。
先の見えない治療や自分の将来に心を患うこともあった、そんな状況を変えたのは、同じく車椅子で生活する方々との出会いでした。肢体不自由や排泄障がいなど同じ目線で同じ経験を語れる仲間ができたこと。障がいがあっても何かを諦めることなく、自分の力で動き回っている存在を知ったこと。
そうして、自分の力で自分の行動や可能性を広げられるようになったことが、「自分とは違う誰かの視点に立ち行動することは、特別な対応ではなく、『こころづかい』の一つ」というユニバーサルマナー検定を広める協会で認定講師として活動される今に繋がったそうです。

みんないつかは障がい者!?

「相手の立場になって考えましょう」というのはよく聞く言葉です。でも、「その立場にならないとわからないことがある」というのも一つの事実。樋口さんも、それまで「障がい」の存在は学校で習ったり知っていても、自分が障がいを持つまでは他人事だったと言います。そんな樋口さんが今社会にお伝えしているのは、「みんないつかは当事者になる」ということ。

視覚障がい、聴覚障がい、車椅子…「これらの状態を寄せ集めたのが、高齢者です。みなさんもいずれ障がい者になります。」つまり、今障がい者が直面している課題は、自分もいつかは直面する困りごと。そのお話には、参加者のみなさんもハッとしたご様子でした。

ルールではなく、マナーで

例えば、視覚障がい者に対して、危険を避けるための安全な手引の仕方や声掛けの方法というものはありますが、人と人とのコミュニケーションに「正解」はありません。障がい者だからといって、いつも必ず困っているわけではない。同じ障がいを持っていても、してほしい手助けの方法は人によって違う。そのように考えると全てがケースバイケースであり、「街で見かけたとしても、どう接したらいいのかわからなくて結局何もできない」という意見が参加者からもあがりました。樋口さんからは、気になるのなら「お手伝いできることはありますか?」などとにかく聞いてもらえればいい、また同時に、周りがそう困惑する気持ちもわかるので、できるだけ自分からも積極的に伝えるようにしている、とのお答えが返ってきました。

2016年に障害者差別解消法が施行され、企業や団体においても「障がい者に対して、組織として適切に対応すべき」という認知が広がる中で、それが絶対的な「ルール」に変わり、柔軟な対応を阻むことが見受けられることもあるといいます。「そういう決まりになっているので」という言葉で、目の前の人が本当に求めている支援ではなく、マニュアルに沿った一辺倒の対応をする。その人や現場を見ずに、ルールや法律だけを見て対応し、当事者を置いてけぼりにする。そのような本末転倒な状況にならないために、決まったルールで相手に向き合うのではなく、「マナー」という心遣いで向き合ってほしい、そんな想いを届けていただきました。

明日からのそれぞれのマナーとは?

参加者の方から質問が続きます。「以前、高齢の方や障がいのある方に席を譲ろうとしたら怒られてしまった。どんな声がけをしたらいいのか」という問いかけには、「大丈夫ですか?」と聞かれると「大丈夫です」と言ってしまいがちだったり、決めつけられると不快なこともあるので、「相手に選択肢がある問いかけ」をできるといい、とお答えいただきました。また、小学校の教員をされている参加者の方の「車椅子の子たちに身に着けてほしい力ってありますか?」という質問には、自分のことを自分の言葉で伝えられる力を身に着けてほしい、そして、体を理由に何かを諦めたりやりたい気持ちを曲げる必要はない、という力強いメッセージをいただきました。

今の世の中、あらゆる違いに関する知識や体験記はネット上に溢れています。でもそれを知識として頭の中で知っているのと、体感したり実際に出会っているのでは大きな違いです。「友達つくるのが一番かも。障がい者と知り合うためにわざわざ出会うのではなく、仲良くなった人がたまたまそうだった、というぐらいがちょうどよいかもしれませんね」最後にそうお伝えしてくれた樋口さん。それは、前回のSee the difference「当たり前というナイフ」のゲストの呉さんもおっしゃっていた、「自然に出会って自然に互いを理解していく」という違いとの向き合い方にも通じることだと思いました。最後に、それぞれの明日からのマナーを共有して、イベントは終了となりました。
たくさんの質問が飛び交う、学びある時間をありがとうございました!
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次回12/8(水)開催となるSee the differenceのテーマは、​​「シェアハウスからはじまる「ちがう」をたのしむ世界」です。
ぜひお楽しみに!

運営スタッフ 花宮香織(はな)