2023年2月22日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第29回が開催されました!今回のゲストは、一般社団法人cotonari 代表理事の佐藤槙子(まっきー)さんです。
留学先で気づいた日本のこと
まっきーさんは学生時代、留学やスタディーツアーでタイ、インドネシア、アメリカと、海外によく行っていました。アメリカには10ヶ月間留学されましたが、英語はあまり話せないそうです。「留学先に日本人が多く、最初は頑張って英語で話していたが、日本人同士で英語で話すことの不便さに気づいてしまった。なので、英語は話せないと言うことになっております(笑)」とまっきーさんがおっしゃると、場の雰囲気が和んだのを感じました。イベントタイトルにもある「心を開く」ということを、早速まっきーさんの発言から感じ取ることができたように思います。
留学時代、移民の町であるサンフランシスコでインターンシップをしていた時、移民の子を積極的に受け入れる保育園を見学したそうです。そこで、多文化共生の考え方や、外国人と一緒に暮らすことについて色々考えたそうです。そして、元々まっきーさんが住んでいた愛知県にも外国人がたくさん住んでいると思い、帰国したら、日本に住んでいる外国人の方のためにできることをしたいと思ったそうです。
上の写真は、帰国後、多文化共生smileというサークルに所属し、日本に住んでいる外国籍の子どもや成人の方と交流している様子です。ブラジル人学校でボランティアをしていた時に、日本人の子どもと交流する機会がないと気づいて、近くの小学校の校長先生に掛け合い、一緒に遊ぶ機会を作ったこともあるというお話には驚きました。
左下の写真は、アフリカの子どもたちと一緒に動物園に行ったもので、右下は、ミャンマーのダンスを通して交流した様子です。
選ばずに日本に来た子どもたちへ
まっきーさんはなぜ、このように熱量高く、外国籍の方をサポートしたいと思ったのでしょう。その背景には、ご自身の経験がありました。
「私は自分の意志で留学したが、今日本に来ている外国籍の方、特に子どもたちは、自分の意志では来ていない場合もある。自分で選んで留学しても、辛いことはあった。違う言語で悪口を言われたこともあった。自分で選ばずして来た子どもたちはもっといろんな葛藤があるだろうなと思って、自分のやれることで子どもたちにできる事があれば良いなと思った。」という言葉がとても心に残りました。
私は、学校の授業で外国人技能実習生が虐待されている動画を見た後、教授が「外国人と関わろうと思って海外を見るかも知れないが、私たちが住んでいる身近なこの県で、外国人に対して残酷な問題が起きていることを忘れてはいけない。」と言っていたことを思い出しました。
日常的に外国籍の子がいる地域でできる事
cotonariがある愛知県知立市には、外国籍の方が多く住んでいます。まっきーさんのお子さんが通っている小学校と保育園も、半分以上の児童が外国人の子どもだそうです。
やはり外国籍の人が日本で住むのは大変なのか、という質問に、まっきーさんは「大変だと思います。」と答えました。そして知立市は元々外国籍の方が多い地域だからといって、行政や町が外国人に対してフレンドリーかというとそうではないこともあり、まだまだ頑張っている途中だそうです。
楽しいことで繋がろう
特にまっきーさんが気になっているのは、「ゴミは捨てないで」や「ここで遊ばないで」などの守ってほしいルールは多言語化されているのに、楽しいことのお知らせが多言語化されてないことだそうです。
どこに行ったら子どもたちが楽しめるかや、どこで安く買い物ができるかなどの情報は、住んでいく上で国籍によらず欲しいものです。ですが、そのような情報の発信は優先順位が下がってしまい、情報格差が生まれているのだと言います。
私も、電車内の放送でルールのみが英訳されていてもやもやしたことを思い出しました。
参加者の方からも、ご自身が働かれている施設で、知的障がいの方に向けてやってほしくないことのお知らせにはフリガナを付けていたのに、楽しいお知らせにはフリガナを振っていなかったと気づき反省したというコメントもありました。
言葉が通じなくても、心は開ける
英語が話せないまっきーさん。でもcotonariの利用者の方や、住んでいる地域には多くの外国籍の方がいるようですが、コミュニケーションはどのように取っているのでしょうか。
まっきーさんは、挨拶を必ずするようにしているそうです。
「向こう側の方も、「あの人は挨拶してくれるな」と認識してくれて、知ってる人になれる。そういうことがきっかけで、すこしずつ関係ができていく。」という言葉に参加者のみなさんも頷いていました。
最近まっきーさんは、知り合いの外国籍の方が市役所に行くのに同行したそうです。しかし通訳をしたわけではなく、職員さんが日本語で言ったことを日本語で説明していたそう。難しそうな言葉が出たら「これわかる?」と聞いてみたり、たまに通訳アプリを使ったりしてサポートしているそうです。
心を開いて接すること自体がサポートになっているのだと気づかされました。
そして、まっきーさんが同行する時に、いつももやもやすることがあるそうです。それは市役所の方が本人に向かってではなく、まっきーさんに向けて話す事だそうです。
本人ではなく、同伴者に話しかけてしまうというのは、車椅子ユーザーや視覚障がいの方の場合でも当てはまると、今までのSee the differenceを振り返り思い出しました。それは、今まで出会ったことのない違いと関わることが怖かったり、時間を掛けてコミュニケーションを取ることにより、効率性や早さを求めてしまうことが多いからだと思いました。
cotonariの利用者には、外国籍で、日本語が得意ではない発達障がいがある子たちもいるそうですが、どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。
写真だったり、ジェスチャーだったり、ポルトガル語が話せる人と一緒にコミュニケーションを取ったり、日本語の時もあったり、コミュニケーションの方法は様々だそうです。
臨機応変に様々なコミュニケーションが取れるのも、心を開いているからできる事なのかもしれないと思いました。
知立市に住む参加者の方から、チャットでこんなコメントをいただきました。
「知立市には外国のお店が多いですが、日本語通じないんじゃないか、とか思うと入る勇気が出ないです」
それに対してまっきーさんは、
「行くとちゃんとお客さんとして対応してくれるし、入るとすごく親切に、嬉しそうに対応してくれる。でもやっぱり外国籍の人向けに作られたお店に入るのは勇気がいるので、1回目は誰かと一緒に入ったりすると良い」と、背中を押してくれました。
このように、立場が逆になることもあると考えると、どのような立場になったとしても、心を開いて対等に接するというのは、お互いが安心してより良い暮らしができることに繋がるのだと思いました。
ゲストのまっきーさん、参加者のみなさん、学びある時間をありがとうございました!
インクルージョンチーム 学生インターン
橋本佳恋(かっきー)
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