1/26(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第8回が開催されました!今回のゲストは、ロービジョンフットサル選手の角谷 佳祐さん、山本 健人さんです。
ロービジョン/ロービジョンフットサルとは
角谷さん、山本さんがプレーされているロービジョンフットサルとは、どのようなものなのでしょうか。
弱視者(ロービジョン)一人ひとりの異なる視力・視野を生かし、お互いを補い合いながらプレーするサッカーです。フットサルをもとにしたスポーツである点はブラサカと同様ですが、アイマスクは装着せず、音の出ないボールを用いて、弱視の選手たちが見えにくい状態のままプレーすることが特徴です。 |
ロービジョン(弱視)にも様々な症状があり、お二人の見えにくさもそれぞれ少しずつ違うと伝えてくれました。角谷さんは、全体的にぼんやりしていて近付いても見づらいとのこと。山本さんは、色がモノクロに見えて判別がしにくいそうです。
どうしたらいい?ゲストと共に解決策を考えよう!
今回のSee the differenceでは、いつもとちょっぴり違うワークショップ形式で「違い」に触れて、考えていきました。
ゲストのお二人が日常生活を送る中で困ったシチュエーションについて、どうやったら解決できるかを参加者と一緒にディスカッションしていきます。ミッションは2つ。みなさんもぜひ、「どうしたら解決できるかな?」と想像してみてくださいね。
ゲストのお二人と参加者でそれぞれのミッションについて話した結果、こんなお困りごとと解決策が出てきました。
ミッション①「自動販売機で飲みたいものと違うものが出てきます」
こんなところに困る!
・商品の表示が小さいので見づらい
・同じ商品が複数並んでいたりするとより分かりづらい
・温冷表示の色のコントラストが近いので判断が難しい
こうやって解決できる?
・一つの機械で販売する種類を減らして、表示を大きくする
・音声案内を導入する
・Siriのようにスマホと連動して買えたらかっこいい!
ミッション②「駅での電車の乗り換えがスムーズにできません」
こんなところに困る!
・文字が小さくて読みづらい
・近づけない場所(高いところや遠いところ)に文字があると、さらに見えづらい
こうやって解決できる?
・階段や道標になる場所で、音声案内が入るようにする
・大事な情報は、目線の高さか、それよりちょっと低めに文字がある方が見やすい
・液晶でズームできたら便利
・音声案内が駅ごと・電車ごとに違っていたら判断しやすい
みなさんは、どのように考えましたか?
私は、液晶パネル型の自動販売機は、選択ボタンの凹凸がない分一般的な自動販売機よりも使いづらいのではないかと思っていましたが、商品の表示が大きい分見えやすいという特徴もあるということをお二人の話から学ぶことができました。それと同時に、視覚障害=「全く見えない=触覚に頼る必要がある」という前提で自分が考えているというバイアスにも気付かされました。
山本さんは、参加者と話してみて初めて、自分自身が聴覚から得る情報にとても鋭くなっていることに気付いたそうです。角谷さんは、「自分は視野が広い方だけど、視野が狭くなる視覚障害の症状を持つ友人を想像して混雑する駅にいることを考えてみた」とおっしゃっていました。ロービジョン(弱視)と言っても、その見えにくさは人によって様々。必ずしも困るポイントが同じとは限らないということも、ミッションを解決する過程で意識した部分でした。
ハードとソフトの両側面から
ディスカッションの中でキーワードとして出てきたのが「ハードとソフトの両側面で捉える」ということでした。
ハード面とは、環境それ自体のこと。今回のミッションの場合は、自動販売機の性能などそのものを変えていくことで、解決に繋げようということです。健常者が前提となる社会であるがゆえに、障がいのある人たちが社会から障壁を課せられてしまっている状況をどう改善していけるのかを考えることはとても重要です。
一方で、環境は個人の力で簡単に変えられるものではありません。私たちは、ハード面(環境)を想像しながらも、一人ひとりがどのように配慮するのか、受け止めていくのかというソフト面からも向き合うことも大切にしたいねと参加者からは声が上がりました。
難しいけれど、一歩を踏み出してみる
今回は、視覚障害の観点から物事を捉えていきました。視覚障害の中でも様々な症状や見えにくさがあります。障害にもたくさんの種類があります。さらに、障害のある・なしに限らず、子ども、大人、高齢者….年齢やそれぞれが置かれている環境によっても、私たちが見ている世界は違います。一人ひとりが違っていて、たくさんの違いの中で私たちはともに生きている。だからこそ、それは時に複雑で、難しさにも直面するのだと改めて感じました。
角谷さんと山本さんは、私たちの疑問に対してとてもフランクに答えてくださいました。参加者と話す中で、角谷さんが「当事者じゃなくても、当事者の心理を想像することができるんだと気付いた」と伝えてくれたことがとても印象に残っています。互いに想像し合って、伝え合ってみる。その勇気を大切に、これからも一歩一歩進んでいきたいと思います。
イベントの最後は、明日から実践したい小さな一歩をシェアする「アクション宣言」!
学んだことを自分の生活にどう活かすか?を考えるのもこのイベントの魅力です。
次回10/5(水)開催のSee the differenceのテーマは、「認知症の方が生きている世界を覗いてみよう」です。ぜひお楽しみに!
インクルージョンチーム
リーダー 上原紗英(ぽす)