国を超えた居場所のために See the difference〜異文化の中での生きやすさに必要なのは優しさ?諦め?〜開催レポート | NPO法人コモンビート
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国を超えた居場所のために See the difference〜異文化の中での生きやすさに必要なのは優しさ?諦め?〜開催レポート

7/5(火)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第17回が開催されました!今回のゲストは、日本在住歴7年のHafiyanda Razanさんと、日本在住歴15年のLorena plazaさんです。

ゲストのお二人がご登場!写真左がLorenaさん真ん中がRazanさんです。

来日した理由

Lorenaさんはチリ出身です。6歳の時にお父さんの仕事の関係で来日しました。小、中学校を日本で過ごし、高校と大学はチリで過ごしました。大学卒業後に日本でお仕事をすることを選んだ理由は、小さい頃住んでいた日本を、大人になってから見てみたかったという好奇心だそうです。

Razanさんはインドネシア出身です。小さい頃から日本のおもちゃが好きで、日本のおもちゃの会社で働くことに憧れていたそうです。そして日本の大学院に進学しました。インドネシアではおもちゃと言えば日本製だそうで、ガンプラも流行っているそうです。

カルチャーショック

Lorenaさんが6歳の時に来日して感じたカルチャーショックは、ビルの高さと、貧困が無かったことです。6歳という幼い年齢であっても、日本に着いた瞬間に貧困が無いことに気づいたそうです。そして保護者の方に、「ここは宇宙だ」と言ったそうです。
大学卒業後の2回目の来日では、日本の静かさが印象的だったそうです。空港に着いた瞬間シーンと静かで、Lorenaさんはそれに安心感があったそう。南米はすごく賑やかで刺激的であるのに対し、日本では気が抜ける感じがしたそうです。母国ではない日本に安心感があったのは、幼い頃を日本で過ごしたLorenaさんだからこそかも知れません。

Razanさんは、元々持っていた日本へのイメージと、実際に来日して感じたイメージが違ったそうです。日本は、ルールは絶対に守るし、街は綺麗という、すごく良いイメージを持っていたそうです。しかし、来日してすぐに信号無視をする人を見つけ、親近感を覚え、安心しプレッシャーが解けたそうです。インドネシアとあまり変わらないと感じたそうです。

文化の違いで困ったこと

Razanさんは、日本での友達作りで困ったそうです。当時所属していた研究室は忙しく、なかなか人と話す機会もありませんでした。そんな中でRazanさんはお酒を飲みませんが、飲み会に行きました。友達を作る機会にお金を払う感覚だったそうです。しかし翌日の朝に、仲良くなったと思って彼らに接しても、冷たくされたことがあるそうです。Razanさんは気持ちが一方通行だったのが悔しく、寂しい思いをしました。それ以来、友達を作ることにはあまり期待しなくなり、仲良くなっても浅い関係だと思うようにしていたそうです。今は、海外に興味持ってくれる人とは仲良くなりやすいと気づき、国際交流の会などに参加して友達を作っているそうです。

一方でLorenaさんは、子どもの頃から日本にいたので日本人のマインドが理解できていたため、友達作りで苦労することはなかったそう。しかし、日本には日本人の友達も、外国人の友達もいましたが、分けて遊ぶことが多かったそうです。
そして子どもの頃は差別も経験されたそうで、特に周りの外国人の友達に対する差別が多くてひどかったそう。
そして今でも、日本人が違いを認めることや変化を受け入れることが苦手な様子を感じるそうです。具体的には、敬語は海外の人にとって難しいのに、できずに怒られてしまうシーンなどを見てきたそう。一人の人間としてみんな違うのに、なんで教育はみんなを一緒にしようとするのか。日本の社会を遅らせている原因の1つだと思うと話してくれました。

いろんな国の人、いろんな文化の人と一緒に働くには、ルールに従うだけではいけない。目の前の人の気持ちを尊重するにはルールを超越する必要があるし、そもそもルールとはみんなが気持ちよく働くためにあるべきものではないのかという意見がでました。

文化が違うことで良かったこと

良かったことは、ゲストのお二人とも、色々あるから迷うと言っていました。
Razanさんは、インドネシアでは目に入ったことにすぐ踏み入るけれど、そうではない日本人の介入してこない冷たさが心地よい時があると言っていました。
日本にはお祈りするところがあまりなく、駐車場などの空いているスペースを見つけておこなっていたそう。その時に、日本では全然介入されず助かったそうです。しかし酔っ払いには絡まれたそうです。

酔っ払いのお話で笑うみなさん

Lorenaさんは、日本人の、人のことを優先して考える優しさが好きだそう。組織や会社の中の日本人は少し冷たいけれど、外に出ると個人個人は優しいと感じるそうです。これには参加者の方も賛成の方が多数いらっしゃいました。

参加者の感想

ゲストのお二人のお話の後は、ブレイクアウトセッションです。3人から4人のメンバーに分かれて、「違う人と一緒に生活をしていくために、そして心を通わせていくために、どういうことが必要なのだろうか」ということを話し合いました。そしてブレイクアウトセッションから帰ってきた後、参加者の方からはこのような意見が出ました。

「日本の同調を求めて来る社会がすごく嫌だった。学校で上手くやっていけず、同調できない自分が悪いと思っていた。でも今日の話を聞いて自分が認められた気がしたし、寛容性のない社会はどうなの?と今は言える。」

「私が海外に行ったら、私は外国人になる。もし私が外国人になって嫌な思いをすることがあっても『集団で思っていることと個人は違う』と考えて、「個」を信じることはしても良いかもしれないと思った」

「国によっても良いところと悪いところがあって、パーフェクトはない。完璧を求めすぎていると思った。」

「『郷に入れば郷に従え』という言葉があるけれど、自分の国のアイデンティティも大切にしたい。自分の大切なこと失わないためのバランスのさじ加減が難しそう」

「海外に行く前、それぞれの国に先入観があったけど、個人単位で人対人で話した時に、持っていたイメージを感じなかった。異文化とかいう単語を超えて、『違うな』と思ったことを話し合う時間を持てば、気持ちよく過ごせる関係が作れると思う。」

「両親が国際結婚で、自分の居場所を見つけるのが難しかった。でも居場所がなくてもありのままの自分を認めてくれる人がいればいいと思ったら、生活しやすくなった。」

このように、ご自身の経験から語ってくれる人が多くいました。

ゲストの方のお話と参加者のみなさんのご感想が、読んで下さったみなさんが心地よく生きるためのきっかけに少しでもなることができれば幸いです。

イベント最後は、それぞれが踏み出すアクション宣言!

 

ゲストのRazanさん、Lorenaさん、参加者のみなさん、学びある時間をありがとうございました!

次回9/7(水)開催のSee the Differenceのテーマは、「学歴フィルターってなくせるんですか?」です。ぜひお楽しみに!

インクルージョンチーム 学生インターン
橋本佳恋(かっきー)