人生アンサンブル_01 小学校教諭が、ミュージカルを通じて見つけた“Help!”の力 | NPO法人コモンビート
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人生アンサンブル_01 小学校教諭が、ミュージカルを通じて見つけた“Help!”の力

ダイバーシティ&インクルージョンは、わたしとあなたのこと──。コモンビートは、「わたしとあなた」というひとりひとりを起点に、個性が響きあい、多様な価値観を認め合える社会を目指して活動しています。今回の「人生アンサンブル」では、コモンビートのメインの活動であるミュージカルにキャストがどのような思いで参加し、そして、そこからそれぞれの暮らしや人生の物語にどんな変化が起こっているのかを、コモンビート広報室がお届けします。


子どもたちの先生として、一人ひとりの違いを認めあえているだろうか?

今回の主役は、小学校教諭の一杉大介さん「いっちゃん」です。日々、子どもたちに大切なことを教えるなかでコロナ禍が起こりました…。動揺があり、価値観が揺らぐ今、ふと10年前のことが頭に浮かんだそうです。それは、コモンビートのミュージカルを観た時のこと。舞台に立つ人たちが、演技で表情を作っているのではなく、心から幸せを感じてステージに立っていることが客席まで伝わるものでした。

「どんなプロセスを経て、みんなあの表情にたどり着いたのだろうか」「自分もあの場に立ってみたい」と、いっちゃんは思いました。そこには、子どもたちに向き合う先生として、「本当にダイバーシティ&インクルージョンを実践できている?」「自分自身はどうなんだ?」ともやもやしたものを拭いたい、という思いもあったようです。

ミュージカルの素人、だから貢献できる、認められる

しかし、いっちゃんはミュージカルも初めて…。もうこれは、「一生懸命に練習するしかない!」と思いました。そして、作品への思いや、一緒に練習する仲間に思うことを素直に、そして丁寧に表現することにこだわりました。それは、「こんな自分でも大丈夫だろうか」「迷惑になっていないだろうか」という不安の裏返しだったかもしれません。

すると、どうでしょうか。そこには、「いっちゃんの一生懸命な様子や、取り組む態度に刺激をもらえる」「いっちゃんがいると、場に安心感が生まれる」と、伝えてくれた仲間がいました。ミュージカルは素人でも誰かの力になれることはある──。そこには、いっちゃんの個性が確かにあり、「わたしとあなた」という形で認める仲間がいました。

えっ!これもミュージカルの練習なの?

さて、いっちゃんは、どういうプロセスでミュージカルを仲間と作り上げていったのでしょうか?そこには、驚きがたくさん詰まっていたようです。「声を出す」「体を動かす」という練習は当然ありましたが、それ以外の機会もたくさんありました。

たとえば、「自分はどんな人物を演じるのか」「その人物は、作品のなかでどんな変容をとげていくのか」を仲間と話し合うこと。いっちゃんの場合は、作品の中で演じる役を通じて、「自分自身は、どんな人間でありたいのか」「どんな人生を歩んでいきたいのか」という願いを投影していることが分かったそうです。それは、自分を見つめるきっかけでした。

冒頭で触れたように、私たちコモンビートは、「個性が響きあい、多様な価値観を認め合える社会」を目指しています。そのためには、自分の内面にぐっと深く向き合うことが大切になります。いっちゃんが経験した仲間との対話も、立派なミュージカルの練習なのです。

コモンビートで変わった、これからのわたし

いっちゃんは、学校の先生。子どもたちにとって、「こうしてみたら」「あれが必要かもね」と導く存在です。しかし、ミュージカルでは素人だから、わからないことだらけ…。ほぼ全員が初対面だし、最初の頃は、「できない」「分からない」「助けてほしい」「教えてほしい」と意思表示することに抵抗がありました。でも勇気を出して「困っているので、力を貸してほしい」と伝えると、「いっちゃんだったら、こうしたらいいかも」と受け入れられ、困りごとを乗り越えられました。

この“Help!”の力は、ミュージカル以外の日常生活でも生きているようです。完全な人はいないし、お互いの視点が組み合わさるから、面白いことが起こる。いっちゃんは、コモンビートのミュージカルに参加することで、誰かに助けを求めること、自分も誰かの助けになること、そうしてお互いが歩みよる心地よさを知ったようです。

できること、できないことは人それぞれです。いっちゃんは、コモンビートのビジョンに書かれている「自分という個性に、心から満たされて生きる」という言葉にとても共感しているそうです。“Help!”と言える先生って、すてきですね。いっちゃんと子どもたちの間にも、きっと豊かなアンサンブルが奏でられるのだと思います。


「私たちをつなぐひとつの鼓動はあるのか」という問いへの答えを明確に出すことが難しい社会の現実があると思います。
しかし、「少なくとも今この瞬間、このステージ上にいるキャスト達はひとつの鼓動を奏でている」ということは伝えたい。そういう姿を見せたい。
それができたら、観てくれた方々に「ひとつの鼓動って存在するのかもしれない」「私は私の生きる世界で、その鼓動を探してみよう」という気持ちをもち帰っていただけると思います。

一人一人の小さな変化が、よりよい社会を創る。そう信じて、ステージに立ちます!


最後に、公演に向けて、力強く語ってくれたいっちゃん。
彼が出演する、ミュージカル「A COMMON BEAT」再開記念シリーズ・関東公演は、7月16日(土)に本番を迎えます。ぜひ、いっちゃんをはじめとした、キャストそれぞれの物語を味わいに、劇場にいらしてください!