人生アドリブ、アンサンブル_01 後編 | NPO法人コモンビート
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人生アドリブ、アンサンブル_01 後編

小学校教諭が、ミュージカルをして見つけた“Help!”の力

えっ!これもミュージカルの練習なの?

さて、いっちゃんは、どういうプロセスでミュージカルができるようになっていったのでしょうか?そこには、驚きがたくさん詰まっていたようです。「声を出す」「体を動かす」という練習は当然ありましたが、それ以外の練習もたくさんありました。

たとえば、「自分はどんな人物を演じるのか」「その人物は、作品のなかでどんな変容をとげていくのか」を仲間と話し合うこと。いっちゃんの場合は、作品の中で演じる役を通じて、「自分自身は、どんな人間でありたいのか」「どんな人生を歩んでいきたいのか」という願いを投影していることが分かったそうです。それは、自分を見つめるきっかけでした。

冒頭で触れたように、私たちコモンビートは、「個性が響きあって、多様な価値観を認めあえる社会」を目指しています。そのためには、自分の内面にぐっと深く向き合うことが大切になります。だから、いっちゃんが経験した仲間との対話も、立派なミュージカルの練習なのです。

コモンビートで変わった、これからのわたし

いっちゃんは、学校の先生。子どもたちにとって、「こうしてみたら」「あれが必要かもね」と導く存在です。しかし、ミュージカルでは素人だから、わからないことだらけ…。全員が初対面だし、最初の頃は、「できない」「分からない」「助けてほしい」「教えてほしい」と意思表示することに抵抗がありました。でも勇気を出して「困っているので、力を貸してほしい」と伝えると、「いっちゃんだったら、こうしたらいいかも」と受け入れられ、困りごとを乗り越えられました。

この“Help!”の力は、ミュージカル以外の日常生活でも生きているようです。完全な人はいないし、お互いの視点が組み合わさるから、面白いことが起こる。いっちゃんは、コモンビートのミュージカルに参加することで、誰かに助けを求め、すてきな一歩を踏み出す心地よさを知ったようです。

できること、できないことは人それぞれです。いっちゃんは、コモンビートのビジョンに書かれている「自分という個性に、心から満たされて生きる」という言葉にとても共感しているそうです。“Help!”と言える先生って、すてきですね。いっちゃんと子どもたちの間にも、きっと豊かなアンサンブルが奏でられるのだと思います。