生きる心地が軽くなる!?「See the difference〜シェアハウスからはじまる「ちがう」をたのしむ世界〜」開催レポート | NPO法人コモンビート
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生きる心地が軽くなる!?「See the difference〜シェアハウスからはじまる「ちがう」をたのしむ世界〜」開催レポート

12月8日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくためのイベント「See the difference」の第6回が開催されました!
今回は、ボーダレスハウス株式会社 代表取締役社長の李 成一さんをゲストとしてお迎え。ボーダレスハウスの事業とご自身のご紹介から、お話はスタート!

ソーシャル・ビジネスとしてのシェアハウス

ボーダレスハウスを立ち上げる今から約10年前。今でこそ多少は改善されてきてはいますが、当時は外国人は家をなかなか借りられない、という状況がありました。李さんもそれを体験し、「なんとなく怖い」「なんかだらしなさそう」そんな一方的なイメージで家を貸し渋るような世間へのちょっとした怒りもあったそうです。また、海外からきた留学生は、大学の寮に入居できない限り、家を借りるのも大変で、学校外で日本人と交流する機会もなかなかない。そんな課題を解決する手段としてこの事業を始めたということで、シェアハウスはあくまでもツール。そんなお話を聞いて「社会課題解決=利益、とつながるビジネスモデルって素晴らしい」と参加者の方からも声があがりました。

「ちがい」を意識したきっかけ

そんなビジネスを立ち上げることになった李さんがそもそも違いを意識するようになったきっかけは、高校生の時に北朝鮮に修学旅行でいったこと。それが初海外だったという李さんは、「将来の夢は軍人になって国を守ること」と明言する同世代に接し、同じ年齢・民族だとしても、見ている世界が全然違うということ、そして、育った環境や文化というバックグラウンドが人に大きな影響を与えることに驚いたといいます。

また、大学生の時には、周りとは違う名前から覚えてもらいやすく友達にすぐなれたことをきっかけに、自分がルーツを大事にしていれば、「違いは弱みではなくアドバンテージ」だと感じたのだそう。ただ、実社会では、その違いが差別や偏見につながることも多いことから、どんなバックグラウンドの人でも胸を張って生きられる社会のために、今でも仕事や事業をしたいと思っているそうです。

「楽しい」が起点

そんな「違い」を「楽しむ」場としてのシェアハウスに、どれだけの人に住んでもらえるか。その数を一つの成果指標に走り続けた10年間だったとおっしゃっていましたが、そのためのHPなどの広報において大事にされているのは「どれだけ楽しそうにみせるか。」様々な違いと出会うことは大事であるとストレートに伝えるよりも、「なんか楽しそう」というポジティブな印象でまずは惹きつけること。課題解決やビジョンの前にまずは「楽しい」を起点にする、というこのお話には、モデレーターであるコモンビートのスタッフも、ぶんぶん首を振って共感していました。

コミュニティ事業・教育事業としてのシェアハウス

また、シェアハウスや不動産経営をしている参加者からの、入居者間で交流が生まれるような工夫やトラブルを防ぐための施策等に関する質問には、「入り口を大事にしている」とのお答えが。「国際交流シェアハウス」としっかり謳っていることから、「人と交流したい人」が入居希望をする。また、入居審査においては、国籍や文化やパーソナリティではなく「交流意欲」でジャッジをする。そんな共通意識を持った人たちなので、大きなトラブルや問題はあまり起こらないし、そんなトラブルも含めての「国際交流」であるということ。

ルールで縛るのではなく、本人同士のコミュニケーションで解決するというその姿勢は、前回開催のSee the differenceでゲストの樋口さんにお話いただいたことにも通じることであり、ボーダレスハウスさんの運営は、この事業を不動産業ではなく、「コミュニティ事業」や「教育事業」と思ってやっている、という強い意思の表れととれました。

「生きる心地が軽くなる」場所

今回のイベントには、関西のボーダレスハウスに現在住んでいるという大学生も参加!特に大きなイベントがなくても、学びがたくさんある毎日だと楽しそうに話しはじめてくださった、さくらさん。そんな日々の中でも印象として残っているのは、交流ディナーを企画していた時のこと。参加者の出欠を事前に確認したいのに、とある外国人の入居者の予定が決まらない。「参加するかどうかは、その時の気持ちで決めたいから」堂々とそう答える姿に、「それもありか!」と大きな衝撃を受けたそう。周りの人に迷惑なんじゃないか、空気の読めない人と思われるんじゃないか。日本で感じるそんな「こうあるべき」というものの枠が外されて、「生きる心地が軽くなる」場所としてのシェアハウスなんだ、というさくらさんのお話は、ボーダレスハウスが掲げる理念を実際に体現している場として伝わってきました。

他にも、「シェアハウスという空間の魅力をどう外の人に開いていくの?」「コロナ禍で運営をやめたハウスはどうしているの?」など、参加者からの質問が止まらない!オープンマイクのトークタイムに、参加者同士の対話、そして、最後にそれぞれのアクション宣言を共有して、2時間はあっという間に終了!参加者の中には、「ボーダレスハウスに住みたいのでこのイベント映像を親に共有します!」なんて人も。

「生活」という嫌でも顔を合わす空間では、自分が得たいものだけではなく、気がついたらいつの間にか得ているものがある。その大事さ、そして、「シェアハウス」というものの交流の深さをたっぷり垣間見せていただいた時間となりました。ありがとうございました!


【編集後記】
イベント中の参加者同士のトークタイム。ブレイクアウトセッションで小グループに分かれて感想を話し合う参加者の傍ら、それまで喋り続けてきたゲストとモデレーターは通常、別の部屋でちょっと休憩したりその後の流れを確認したりしているのですが…「参加者のみなさんの部屋にいってきてもいいですか?」と自ら移動された李さん。人と交流することが好き、様々な人と交流することは楽しいこと。そんな李さんご自身の姿が、会社の経営の根幹に繋がっているのだなぁと感じた瞬間でもありました。


次回12/20(水)開催となるSee the differenceのテーマは、「できないわけじゃない、時間がかかるだけ」です。ロービジョンフットサル選手3名をゲストとしてお迎えし、参加者のみなさんにはとあるミッションに挑戦していただくワークショップ形式!ぜひお楽しみに!

運営スタッフ 花宮香織(はな)