問題解決型から価値創造型へ | NPO法人コモンビート
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問題解決型から価値創造型へ

コモンビートはどんな問題解決に取り組んでいますか?

NPOという活動をしていると、このような質問をいつも受けます。
もちろん多くのNPOやNGOは、「問題解決」をテーマにしていることろが多いからなのかもしれません。
私は、時代が移り行く中で、大切にしてゆかなければならないものが何か?失われていくものは何か?ということを常に考えています。
特に、社会の技術進歩の過程で、便利さと引き換えに失われた多くの事柄に関心があります。
便利さはいけないものではありません。
便利を捨てて太古に戻ればいいというものでもないですから、時代は進化も受け入れなくてはなりません。

これまで、「人の生活の豊かさ」は「経済」にあったかのかもしれません。
経済成長を大義名分に技術革新を進め、一方で公害までもを容認してきました。
モクモクと黒い煙を出す煙突は、「近代化の象徴」といわれる時代さえあったのです。
私たちはそうした経済成長があったからこそ今日があるということを忘れてはなりません。

一方、そうした中で人の意識が変わってきたように思います。
「豊かさの基準」です。
悲惨な事件や事故が相次ぎ、地球環境の未来さえ危ぶまれる中、「何だかおかしい」と警笛を発する人が増えてきました。
そうなると今度は考えがいきなり一転し、「すべて悪い」となってしまう傾向があります。
これまでのすべてを否定するかのように、すぐに方向転換する人がいます。
昨日までいい人だったのに、今日から悪い人です。
どうも最近はそうした「過剰反応な問題」が横行しているようにも思えます。

とてもおかしな現象が多発しています。

運動会での競争に順番がつかないのはナゼでしょうか?
足の遅い子どもの親が、「わが子が恥ずかしい」「いじめられる」と騒ぐのです。
でもどうでしょう。
足が遅いのは、何か問題でしょうか?
その子の足が遅くとも、もしかしたら投げることは得意かもしれません。
歌を歌えば誰よりも優れているかもしれません。

問題に焦点が当たればそれが大きな問題に感じますが、他に焦点が当たっていれば何ら問題にさえ感じない場合がほとんどです。
人は「できないことだらけ」です。
万能な人などいません。

またこんな話もあります。

子どもたちに「あなたの宝物は何?」と聞くと、9割の子どもが「Nintendo DS」だというそうです。
確かに問題かもしれません。
でも僕らの子どもの時には、ファミコンの全盛期でした。
もちろんその頃も問題化されていたかもしれません。
でもどうでしょう?
大人が「Nintendo DS」以上に楽しいことを教えていないのではないでしょうか?
そういうことを教えられない大人が、「Nintendo DS」のせいにしているだけにすぎません。

では、「Nintendo DS」を子どもから奪えばば問題は解決するでしょうか?
大人にとっては問題の解決になるかもしれません。
心配が1つ減ったからでしょう。
でもきっと、誰かから借りたり、こっそり寝静まった夜中の布団の中でやっていることでしょう。
誰にでもそんな経験はあるはずです。
強引に退かせば、反発が起こります。

問題の解決というのはそんな簡単なことではありません。
私たちは問題解決そのものに取り組んで、問題を直接的に排除したり改善したりすることが得策ではないでしょう。

私たちはそんなときに、新しい価値を見つけ出していくことで、世の中がよりよい方向に変わっていくと思っています。

たとえば「Nintendo DS」が問題であるなら、それよりも楽しいものを与えることができる大人、またはそれよりも楽しいことを実践している大人がそこに居てほしいと思っています。

人は楽しいことに興味を惹かれます。
それは、楽しそうにしている「人」に興味が沸くのかもしれません。