9月29日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくためのイベント「See the difference」の第二回目が開催されました!
今回ゲストにお呼びしたのは、NPO法人日本ブラインドサッカー協会D&I事業部スタッフの辻一幸(カズ)さんです。人前で話すのは緊張するとおっしゃっていましたが、趣味である旅行のことや最近飼い始めた犬と遊ぶ時間が好きという辻さんの自己紹介から、あたたかな空気でトークが始まりました。
そんな辻さんから視覚障がいについてのミニクイズが出題されました。
【視覚障がい者31万人のなかで全盲と言われる方は何割くらいだと思いますか?】
①1割 ②3割 ③5割 ④10割
みなさん、分かりますか?
答えは①の1割。
「視覚障がい者」という言葉はよく耳にしますが、実際にどんな人がどのように生活しているのかは、知らない人も多いのではないでしょうか。
「視覚障がい」と一言でいっても、その見え方は様々です。
辻さんは、通常より視野が欠けて見える、いわゆる視野欠損の症状があり、常に硬貨の穴から覗き込んでいるような視界だそうです。普段は白杖(視覚障がい者が歩くときに用いる白色の杖)をついて生活されています。
今回のテーマは「障がいをつくっているのは誰なのか」。
辻さんは、パラリンピックの閉会式で選手の一人が言っていた「私たちが輝けるのはあそこ(パラスポーツ)の中だけ」という言葉に引っ掛かりを感じたと言います。
辞書で障がいは「できないこと」と書かれていますが、社会において「できないこと」をつくり、障がいを障がいたらしめているのは、誰なのでしょうか。そして、私たちはどうやって関わり合っていけばいいのでしょうか。
この正解のない問いに対して、辻さん、そして参加者同士で対話を深めていきました。
参加者から出てきた、障がいの有無に関わらず、他者と関わる時にはなるべくフランクに接するのが大切だという気付きや、どうしても自分は障がいのある人の気持ちを全ては知ることはできないし、知らないからこそ怖くて近付いていけないという素直な気持ち。そして辻さん自身が「自分が当事者でありながらも、自分とは違う障がいのある人に偏見を抱いてしまうこともある」という正直な言葉がありました。
また、この日は参加者の中にも視覚障がいのある方がおり、当事者も、そうでない人も、カジュアルにセンス良く互いに声をかけ合えることが大事で、「どんな風に見えないの?」と気軽に聞いてほしい、と笑顔で伝えていたのもとても印象的でした。
最後には、イベントを通じて明日からやってみたいと思うことを参加者一人一人が発表し、イベントは終了しました。
この日、自分の中でとても印象的だった出来事がありました。
See the differenceでは、身体と心をほぐすストレッチから始めていくのですが、そこで発した「腕を伸ばしましょう」という言葉。
私にとっては、何気ない普段通りのストレッチの指示でした。その言葉にすかさず、他のスタッフから「『上に』腕を伸ばしましょう」という補足が入った瞬間、私はハッとしました。オンラインでは、画面に映る自分を真似してもらうことが増えています。でも、今回は目の見えづらい人がいる。あれだけ意識していたはずなのに、そうできなかった自分。
人は誰でも、自分が経験したことのないものを想像するというのは難しいことです。今回のことは、私自身が「相手の立場を想像できている」と思い込んでいただけなのではないかと内省するきっかけにもなりました。
これは、障がいがある・ないという話だけではなく、私たち一人ひとりが持っている、個性や性格、経験の違いにも同じことが言えると思います。
人と話しているとき、電車に乗っているとき、働いているとき…日々の生活の中で一人一人の違いに出会う瞬間は、きっとたくさんあるはずです。
そんな時、「わたしとあなたの違い」に、どれだけ想像力を働かせられるでしょうか。
一人ひとりの些細な意識から、多様な価値観を認め合うことは始まるのだと改めて認識した2時間でした。
次回10/13(水)開催となる「See the difference」のテーマは、「おなじとちがいを行き来する」です。どうぞお楽しみに!
ゲストの辻さん、参加者のみなさん、ありがとうございました!
スタッフ高木輝帆(きほ)による、グラフィックレコーディングもぜひ合わせてお楽しみください。
運営スタッフ 上原紗英(ぽす)