イベントレポート【4/9教育企画第2回「知ろう」】 | NPO法人コモンビート
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イベントレポート【4/9教育企画第2回「知ろう」】

こんにちは!コモンビートスタッフの前嶋葵(あおい)です

4月9日(水)にコモンビート事務所で行われた教育イベント第2回「知ろう」のレポートをお届けします。
またもや企画者自らレポート!そして今回も長文です。笑

この日の参加者は10名。コモンビートからのお知らせや、個人的な繋がりから参加してくださいました。
コモンビート会員ではない、一般の方が半数以上いたので、初めの空気は割と固めだったかな…。そんなよそよそしい感じが新鮮でした!

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〜第1部「私が見ている教育の現場」〜
パネリストそれぞれから自己紹介を兼ねて、今それぞれの方が見ている「教育」について語っていただきました。
その後はモデレーターの佐藤一平(いっぺい)さんから質問にそれぞれ答えるかたちで進めていきます。
ここでは、それぞれの方の自己紹介が質問に対する答えの中で印象的な話をご紹介します。

韓朱仙(チュソン)さんは、現在横浜シュタイナー学園の体育教師をしています。
シュタイナー教育とは➡http://www.steiner.ed.jp/edu/question/
(学校法人シュタイナー学園HPより)

ーいっぺいさんの「子どもに向き合うときに大切にしていることは?」という問いに対して・・・
「両極端のことを伝えるようにしている。例えば、「善は急げ」と「急がば回れ」。反対の意味の言葉ではあるし、聞いた子どもは戸惑うけれど、子どもたちには「葛藤させることが成長」だと思っている。」
『こうでなければいけない。こうであるべき』と教えることは危険。生きる上で臨機応変さが重要だと思っている。
そんなことが身に付くような問いかけを意識している。」

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渡辺尊子(たかこ)さんは、都立高校の英語教師。
教師となって5年が経つそうで現在受け持っている学校が2校目だそうです。

ーいっぺいさんの「子どもに向き合うときに大切にしていることは?」という問いに対して・・・
「『教員は教員としての仮面を被る』という言葉があるが、『ちゃんと先生であろう、誠実であろう』と思っている。
子どもは敏感。言葉で言っても心で思っていないとそれが伝わってしまう。」

「子どもたちには『生きるチカラ』を身につけてほしい。コミュニケーションする力や人を思いやること・人のせいにしないなど。人として基本的なことを、自分が3年間関わるんだから伝えていきたい。」

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濱田亮(はまちゅん♪)さんは、保育所に通うお子さんを持つ一児のパパです。そして実は数学の教員免許をもっています!なんと!

ーいっぺいさんの「お子さんにはどんな大人になってもらいたいですか」という質問に対して・・・
「たかこの話にもあったが、子どもはすべて分かっているし、自分もそうだった。だから、対等に接している。泣いたところで親は動じないので、ちゃんと説明させるようにしている。傍からみたら『そんな接し方?』と思われるかもしれない。
例えば歳の離れた人と接するようにする。スーパーでイチゴが欲しかったら、『どこにあるかお店の人に聞いてごらん』と言って、話す機会を作っている。積極的に自分で何でも出来る環境を作っている。」

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尾島菜穂(なほ)さんはなんとアメリカはサンフランシスコからSkypeで参加してくださいました。現在アメリカで教育に関するいろいろ情報を集めていて、そのいくつかを紹介してくれました。ちなみに現地は朝4時でした…。

アメリカではBlended Learningを取り入れている学校が出てきているそうです。
※blended learning・・・これまでの対面式の授業のなかに、オンラインの教材などを取り入れた学習方法。
実際に教室を見学しに行き、その様子の写真をみせてくれましたが、半分は先生の方を向き、半分はパソコンに向かうという、私にとっては、一見奇妙な光景でした。
そして貧しい地域の学校と裕福な地域では、学校の設備の差が大きく、人種に偏りも。日本では見えにくい経済格差があからさまに見えることがなほさんにとってはショックだったようです。

ーいっぺいさんの「お子さんにはどんな大人になってもらいたいですか」という質問に対して・・・
「みずから自分の道を切り開いていくチカラを身につけてほしい。特にシリコンバレーの文脈で言うとアントレプレナーシップと呼ばれているもの。自分で決めてきたと思っていても偏差値など外からの評価に縛れているな、ということがアメリカに来て気付いたこと。」
「こちらで出会う人は自分の人生を自分で舵取りしている人が多いように感じる。そんな人が増えて、さらに意識が向いている人は社会のおかしいところを変えていけるような人になっていってもらえたらと思う。」

第1部の最後に、チュソンさんから、「格差社会と言われているが、決して今の時代が特別ではない。いろいろな状況やデータが『見える』ようになりすぎていて「問題」として捉えられている。格差があるのは昔も今も変わらない。戦時戦後で言えば、幼い兄弟をおぶって学校に通っていた時代もあった。あらゆることを「問題」としてしまう傾向があるから受け取る側のバランスも必要。」と話してくれたのが印象的でした。

第2部のワールドカフェに入る前に、グループ分けをしました。
その方法とは…「じゃんけん列車」です!星野桃子(もも)さんが発案!「童心に帰ってやってみましょう!」のかけ声のあと、恥ずかしさもありつつじゃんけん列車ができていきました。(とはいっても最大4両)

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2部も引き続きいっぺいさんの進行ですすめます。パネリストの皆さんも中に入っていただきました。
今回のお題は「子どもたちにしてあげれらることは?」という問いです。

まずは1人で考える時間です…
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ーみなさんだったら何と答えますか?
スラスラでてくる人、「子どもたち」「してあげる」そんな言葉に引っかかるかもしれませんね。

シンキングタイムを終え、グループ内で順番に自分の考え話していきます。
教師の立場、会社での教育部門担当、親、それぞれが違う立場で違う目線で話を展開していくので、お互いの話を興味深そうに聞いていました。

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そしてグループで出た話を全体で共有してもらいました。

初めのグループは、
まず「子どもたち」という複数というところでまずひっかかったようです。
「自分の子どものことだったら、一緒に遊んだり伝えたりはできるけど、『子どもたち』となったときに自分になにができるかわからなくなった。『してあげる』という表現におこがましさを感じたことも話してくださいました。

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2番目のグループは、高校卒業間もないももさんの弟さんが発表してくださいました。
「自分ができるとは、一緒に野球をしたり、遊んであげること。学校じゃ教えてくれない、サボり方サバイバル力」といった話でした。また、大人になっても楽しいことがたくさんあるよ、ということを伝えたいという話もあがったそうです。
最終的には、「愛を持って接してそれを伝えてあげることが自分にでもできることなんじゃないか」との発言には、会場もおぉー、よく言った!と盛り上がりました。
こちらのグループには、普段スマートフォンやタブレット端末の使い方を教えている方がいて、『こどもたちの能力には差があるけれど、全体を底上げしていくべきか、上位20%の能力を上げていくのか、どちらの方針で(日本として)進んでいくのかが話題になっている』ということも話してくださいました。

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3番目のグループでは、
「まず承認してあげること。そして『ダメなことはダメ』という基本的なルールや、一緒に時間を過ごすこと」などがあがったようです。
失敗してもまたやってみていい機会をあたえることもできるということでした。

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これでワールドカフェの時間は終わり。
各テーブル、お互いの話を聞きあって自分の考えを言い合ってとてもいい雰囲気でした。

しかし、クライマックスはこのあとでした。

チュソンさんが、2グループ目の方の話に対して「2極化については、どちらか一方に進むのを決めるのではなく、両方のバランスが必要」と発言。
これに対して「確かに言う通りで、自分もどちらか一方に行くべきとは思っていない。大事なのはそういった議論をし続けることであって、考えるのを諦めないこと」と話してくださいました。

最後にももさんが「まずは自分が一生懸命生きることが重要で、それが周り30cm、3mと広がっていくんだと思う」とまとめてくれました。

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まだまだ話足りない雰囲気でしたが、今回はここまでとさせていただきました。

2時間があっという間でしたが、教育の今について、その一端を知ったり、自分と教育を近づけたりする機会になったのではないでしょうか。

僕自身、いろいろな角度の視点からの話を聞くことが、物事を考え決めるバランスをとるための物差しになると思っています。
そして、子どもたちが成長していくための環境を整えるのは、大人としての役目の一つだと考えているので、引き続き学び続けてアクションに繋げていこうと思います。

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!

さて、次回は4/23(水)です。
「体感しよう」ということで「世界の教育」と自分を身近にしていきます。
「世界一大きな授業」という教材をつかってのイベントです。

詳細はコチラ➡ http://commonbeat.org/feature/13846/

こちらも是非ご参加ください!

コモンビート事務局スタッフ
前嶋葵(あおい)