2026年4月25日(土)・26日(日)、東京・北とぴあにて第67期東京ミュージカル公演に併せて「COMMON BEAT CONNECT(以下、CBC)」を開催しました。組織開発・人事・教育・NPOなど多様な立場の参加者が集まり、実践現場の見学と専門家を交えたトークセッションを通じて、「表現」を切り口に人や組織のあり方を探求しました。
当日の流れ
11:00 〜 11:45
開会・コモンビート活動紹介/参加者自己紹介
11:45 〜 12:30
ランチ交流 & COMMON BEAT FES 見学
13:00 〜 14:30
ミュージカル「A COMMON BEAT」第67期公演 鑑賞
14:45 〜 15:45
トークセッション「表現は、土台があってこそひらかれる」
15:45 〜 16:00
感想共有・閉会
※ このイベントレポートはロング版(5時間)の内容となります。通常版(約3時間)では、トークセッションは含まれず、ミュージカル鑑賞後に感想共有・閉会となります。どちらの回もミュージカル公演鑑賞付きです。
「個性が響きあう社会」へ。23年間の歩み【団体紹介】

冒頭では、コモンビートの紹介からスタート。「表現する楽しみを みんなのものに」というパーパスや、23年間続いているメイン事業「100人100日ミュージカル®プログラム」について説明がありました。
出会いと対話が生まれた、ランチの時間【ランチ交流 & FES見学】
活動紹介のあとは、お弁当を手に参加者同士のランチ交流へ。人事・組織開発・NPO・教育・地域金融など、普段は交わらない領域の人々が同じテーブルを囲みました。「心理的安全性をどう実装しているか」「組織の空気をどう変えたいか」――自己紹介代わりに、それぞれの現場の話が自然と飛び交いました。
ランチ後は、ミュージカル公演と同時開催されていた「COMMON BEAT FES(コモンビートフェス)−表現文化祭− in TOKYO」の会場へ。子ども向けの表現ワークショップやお絵描き教室や参加型のライブペイントなど、表現を「観る」だけでなく「やってみる」多彩な企画が繰り広げられていました。

COMMON BEAT FES(コモンビートフェス)−表現文化祭− in TOKYO レポート
100人が、100日かけてつくった舞台【公演鑑賞】
舞台に立つのは、年齢も職業も異なる100人の市民。
100日間のプログラムの集大成である舞台を、1,000名以上の観客とともに鑑賞しました。

ミュージカル「A COMMON BEAT 」第67期東京公演 レポート
「表現は、土台があってこそひらかれる」【トークセッション】
ミュージカルの余韻が残る中、2名の登壇者によるトークセッションへ。二人に共通していたのは、「人は、安心できる土台があってこそ表現できる」という視点でした。そしてその土台を支えるのが、心理的安全性と多様性——この日のセッションを貫くキーワードでした。

登壇者
- 藤澤 さしみ(かけるアート inc. 代表/CEO)
- 安達 亮(NPO法人コモンビート 共同代表理事)
「表現することは、やっぱり怖い」

トークの口火を切ったのは、学生時代から落語を続け、プライベートでも仕事でも舞台芸術の世界を熟知する藤澤氏の率直な告白でした。
「20年以上やり続けてきたコモンビートの舞台を観て、本当にすごいと思った。僕自身、今も表現することが怖い。表現って怖さを感じながらやるもんやな、と思いますね」
「素人が舞台に立つな」という声も根強い芸の世界。それでも藤澤氏は、やることへの障壁を下げることが必要と語ります。
「怖いのに、葛藤があるのに、それでも舞台に立っている。その人たちのパフォーマンスは、その分だけ張り合いがある。もしかしたら今日のこの舞台に立つために家族と喧嘩した人もいるかもしれない。でも、その中でやりきる表現には感動がある」
「雰囲気をひっくり返す」ところから、表現ははじまる
では、その「怖さ」をどう乗り越えるのか。安達が語ったのは、コモンビートがプログラムの体験会の場で最初に行うことでした。

「参加者は表現することに自信がない人がほとんど。逆に自信がある人の方がマイノリティなくらいなんです。だから、自信がないと表現できないという雰囲気を全部ひっくり返すことから始めます。周りも市民だらけで、歌も踊りも得意不得意いろんな人がいる——その前提を共有することで、”やりたい”に変わっていく」
100日のプログラムでも、丁寧なプロセスが続きます。お互いを知り合うための自己開示、シーンの意図についてのグループ対話——コモンビートの練習は、歌やダンスと同じくらい「喋る時間」が多いのだといいます。
「誰かが自分の思いや弱さを開示すると、「そこまで出せるなら、私も」と次の人の表現が引き出される。その連鎖が繰り返されることで、100人全体の表現の幅が広がっていく。」
100人の参加者は、年齢・職業・経験値がバラバラです。コモンビートでは、その「違い」を均一化しようとするのではなく、個のリズムや揺らぎを舞台の魅力として活かします。
100日間かけて、互いの個性や価値観に向き合うことで、他者理解や自己理解を深めていく。場の多様性を表現の力に変えていくのです。
「コモンビートの舞台では、一人ひとりが肩書きを脱ぎ、ありのままの自分そして、人生そのものを表現してほしいと思っています」
「まず体で感じてから考える。その順序が、人の変化につながっている」
企業・劇場・地域プロジェクトでアート導入を手がける藤澤氏は、「まず体験すること」の重要性を語りました。頭で理解してから動くのではなく、身体で感じてから考える。その順序が行動変容を生むのだといいます。
ワークショップの設計についても、藤澤氏はこう語ります。
「ワークショップでは最初に必ず、”感情に良し悪しはない””失敗を歓迎する”というグランドルールを伝えます。そこで初めて、参加者は安心して場に関われるようになる。2〜3か月続けることで、ようやく表現に対するブロックが外れていくんです」
多様性という観点でも、両者は同じ方向を向いていました。100人が集まれば、意見のズレや温度差は必ず生まれる。そのズレを「問題」として均一化しようとするのではなく、新しい発想や表現を生む「素材」として受け取る。一方で、場が大切にする価値観に反するような言動には、対話でしっかり向き合う。そうした姿勢が、場の安心感と創造性を同時に支えているのだと語りました。
質疑応答から生まれた問い
Q 組織で安心して感情を出せるようにするには、どうすればいいか?
まずはチームの関係性を高めることが先決。チェックインなど日常的な自己表現の場を積み重ね、関係性が固まった段階で外部ワークショップや専門家を活用する。大事なのは「タイミング」の設計——長期計画の中に、感情を扱う山場を意図的に組み込むこと。
Q 同調圧力と社会合理性の違いはどこにあるのか?
社会合理性は皆が納得して自然にそうなる動き。一方、同調圧力はその合理性を超えてしまっている状態。100人いると「NOよりのYES」の人は必ず混在する。多様性を大切にするからこそ、そのズレに向き合い、対話で方向を調整していくことが必要。
異なる現場から登壇した二人が、この日のトークを通じて共鳴していたのは、「関係性の土台なしに、表現も多様性も機能しない」という点でした。心理的安全性と多様性は、理念として語るだけでなく、時間と体験を通じて育てていくものだということが、この日のセッション全体を通じて浮かび上がりました。
「翻訳」された言葉が、次の一歩になる【感想共有】

公演・トークセッションの余韻の中、参加者それぞれが自分の言葉でこの日の体験を語り合いました。
「弱みを補い合い、強みを活かし合う関係性づくり——まさに自分たちが目指していることが、舞台の上で体現されていた」
異なるコミュニティをつなぐ活動をしている参加者より
「一般的な市民ミュージカルとは目的が違う。対話と関係性の構築を中心に置いているからこそ、観ている側にも何かが届く」
組織開発に関わる参加者より
「コーディネーターとして人と人をつなぐ自分の役割に、改めて自信を持てた」
地域連携に携わる参加者より
「これをどう自分の現場に活かすか」「どんな連携ができるか」まで踏み込んだ対話が生まれ、本イベントはクロージングとなりました。
あなたの現場へ、この体験を
COMMON BEAT CONNECTは、全国各地のコモンビート公演にあわせて開催予定です。
※トークセッションのゲストやテーマは地域ごとで異なります。
人事・マネジメント・組織開発・研修設計に関わる方や、表現・アート・身体性を活かした人材育成や文化づくりに興味のある方など、ぜひ次回のご参加をお待ちしています。
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