多様性の面倒臭さと楽しさと。「See the difference〜ちがいとおなじを行き来する〜」開催レポート | NPO法人コモンビート
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多様性の面倒臭さと楽しさと。「See the difference〜ちがいとおなじを行き来する〜」開催レポート

10月13日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくためのイベント「See the difference」の第四回が開催されました!今回のゲストは、認定NPO法人こまちぷらす 理事長 森祐美子さん。

まずは、こまちぷらすの活動やそれに至る背景のご紹介から。

周りに日本人がいない海外で過ごした幼少期に感じた「違いに着目される」しんどさ。「みんなと混ざりたい」と願ったアウトサイダーのご経験から生まれた「異質なものが入った時に、どう自然に受け入れられるようにするのか」という問い。それに対する一つの答えとして作ったものが、「支援」ではなく、地域に住む様々な方が繋がったり、「母」などの役割以外の自分を取り戻したりできるような場としてのカフェであったというお話まで。本題の深いところまで一気に踏み込んだ導入から、トークは思わぬ方向へ展開していきました。

フルーツポンチともつ鍋を行き来する!?

イベントで使用している資料の一部。

「今日の晩御飯はモツ鍋だったんですけど…このフルーツポンチの中に“モツ”が入ってたら皆さんどう思いますか?」と森さん。
「多様性は素晴らしい」と様々な素材の存在を歓迎しながらも、そこに異質な具材が入ってくるのを拒否したくなる気持ち。でも、モツもフルーツも、いち素材としてはどっちも好き。そんな多様性に対する姿勢の割り切れなさ。
また、フルーツポンチの中のモツのような存在だったと振り返るご自身の過去では、そこにいるために自分のカラーを消して透明になったこともあったそう。でもそれが続くと、本当の自分をなくしてしまう。だからこそ、自分が馴染むモツ鍋のような同質性のあるコミュニティも大事で、そこで安心感を得たり元気を蓄える。そして、そんなベースキャンプがあるからこそ、新しい器や素材と出会えるようなコミュニティにも飛び出せる。そんな、まさかのモツ鍋の例えに、参加者のみなさんも「わかりやすい!」と大盛り上がり。

違いを楽しむために必要なことって?

では、実際にその「違い」を尊重し、共生していくためにはどうしたらいいのでしょうか。
森さんは、イスラエルで見た異なる文化や人種の人が徹底的に議論を重ねる姿、そして、様々な住民が住むとあるシェアハウスて垣間見た運営土台をご紹介くださいました。コミュニケーションにおいて、いちいち「なぜそう思うの?」と互いの前提を確かめ合うこと、それは正直めんどくさいかもしれません。私たちは日々、自分と相手が同じ背景や常識を持っていると見なすことでそのすり合わせを省略していますが、そこにある多様性に本気で向き合おうとするなら、自分の当たり前と相手の当たり前は違うという地点からコミュニケーションを始めることが必要です。そしてそれは、同質性が高いとされる日本社会においても、一緒に暮らしている家族やパートナーとの間でも、人と人が共に生きる上で必要な「めんどくささ」なのかもしれません。

声を出して笑ったり、考え込んでうなったり。
参加者の方の様子も行ったり来たり。

誰もを受け入れるコミュニティは可能なのか?

その他にも、様々なお店が所属する商店会で、ビジョンを一つに定めたことで結束や推進力があがった一方でその前後に会を去る人もいた、というエピソードのご紹介もありました。多様な人がバラバラなままでいた方がよかったのか、結局どちらが良いのか今でもわからない、と。参加者からは何かを選ぶことは誰かを傷つけるかもしれないという自覚を失わないでいたいという感想もあがりつつ、「全ての人に受け入れられたり、全ての人に合う場を作れると思っていること自体が奢りかもしれません」という森さんのお言葉に、新しい観点をいただいた方も多かったのではないでしょうか。

では、あなたは、「ちがい」と「おなじ」にどう向き合いますか?

参加者の明日へのアクション宣言

一筋縄ではいかない多様性、綺麗事じゃ済まされない多様性。そんな多様性に体当たりで日々向き合うしんどさに触れながら、それでも最後に森さんはおっしゃいます。「自分一人の視野は5度くらい。」だからこそ、多様な人がそれぞれの視野を持ち寄り共有することで、新しく見えることや生まれることがある。そこに多様性の楽しさや可能性もあるのだと。そんなお話を受けて、最後に全員で明日へのアクションを共有して、濃い2時間があっという間に終わりました!

次回10/27(水)開催となる「See the difference」のテーマは、「未知と出会ったとき、あなたはどうする?どうなる?」です。シークレットゲストによるワークショップ形式という新しいカタチもどうぞお楽しみに!
ゲストの森さん、参加者のみなさん、ありがとうございました!

スタッフ坂本郷子(ごーちゃん)による、グラフィックレコーディングも
ぜひ合わせてお楽しみください。

事務局長 花宮香織(はな)