100人100日ミュージカル_プログラムストーリー
”自分らしく生きる。”
声高にそう叫ばれるようになった社会で
どこか置き去りにされたような自分を感じること
きっと誰にでもあると思います。
誰だって自分らしくいたいし
そうあれたらいいけれど
現実には
心もとない自分らしさをどう発揮すればいいのか
相手の自分らしさをどう受け入れたらいいのか
自分と相手との「違い」は
不安や戸惑いを生み、
お互いから背を向ける理由にも
なってしまっているのではないでしょうか。

コモンビートはこれまで、個性が響きあう、
多様な価値観を認めあえる社会を目指し、
さまざまな活動を続けてきました。
メインプログラムであるミュージカル『A COMMON BEAT』では、
参加者7,500名、観客数25万人を動員。
プログラムを終え、
それぞれのフィールドで躍進する仲間たちとのつながりは、
いまや全国、そして世界に広がっています。
非日常ではなく、日常の中で「本来の自分」に戻る。
私たちが表現活動にこだわるのは、
それが「ありのままの自分」に戻る体験だからです。
自分をありのまま受け止めることは、
他者との違いを受容する力になる。
それは、ひとりひとりが個性を発揮し、
多様で調和した社会を形づくる大切な一歩だと
私たちは考えます。

一方で、私たちが目指す社会への道のりは
決して平坦なものではありません。
これだけ経済発展を遂げても
どれほど「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」が叫ばれても、
私たちが本当の意味で豊かなのかと問われれば
胸を張ってそうとは言いきれないのが現状です(※注)。
だからこそ、コモンビートにできることは何か。
もう一歩踏み込んで、その役割を追求していくべき時ではないか。
表現活動を軸に、さまざまな活動を行っていくこと。
私たちのミッションは、今までもこれからも、変わることはありません。
しかし、多様で調和した社会を実現するには
その担い手が、もっともっと、必要です。
たとえば
教育機関や行政とともに
私たちのプログラムを幅広く届ける。
コモンビートを巣立った卒業生たちの
新しい活動やコミュニティ創造をサポートする。
企業や団体ともさらに連携して
社会課題の解決に挑んでいく。
必要なのは 少数の優秀なリーダーではなく
「ありのままの自分」を受け入れた
たくさんの「わたし」。
国でもなく社会でもなく、人を起点に、
「違い」を豊かさだと思える意識と行動を
世界中に広げていくことです。
どこにいても、どんなときも
自分という個性に、心から満たされて生きる。
ひとりひとりの幸せは
多様な価値観を認めあえる社会の、
その先にあると 私たちは信じています。

仕事も、子育ても、地球規模の課題も。
あなたとわたしでは
できること・できないことが違います。
でも、あなたとわたしがいれば
可能性はもっと広がります。
「違い」の中にこそ
「共通の鼓動」はある。
その原点に立ち返り、
コモンビートは改めて一歩を踏み出します。
地球上の誰もがよりよく、幸せに生きる未来に向けて
あなたとわたしから踏み出す
最初の一歩です。
※注釈 英国のシンクタンクによる「国の繁栄」をランク付する新しい指標「レガタム指標(TM)」(2020年)では、日本は総合19 位ながら、12のカテゴリーのうち社会関係資本(ソーシャル キャピタリ=家族以外のつながり、社会的ネットワーク)において世界 140位。人とのつながりの希薄さが、本来の幸せ、豊かさを阻害する要因になっており、この低さは他の先進国に比べて顕著であっ た。また、「世界幸福度調査」では先進国で最低レベルの世界56位(World Happiness Report 2021)。「人生の自由度」「他者 への不寛容」の項目で評価を下げている。
