人生アンサンブル_5(後編) 出会えたのは、素の自分と新しい自分 | NPO法人コモンビート
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人生アンサンブル_5(後編) 出会えたのは、素の自分と新しい自分

ダイバーシティ&インクルージョンは、わたしとあなたのこと──。コモンビートは、「わたしとあなた」という一人ひとりを起点にして、個性を響き合わせ、多様な価値観を認め合うことを目指しています。主要な活動である100人100日ミュージカルプログラムの参加者が、具体的に何を経験し、学び、そして仕事や人生にどんな変化を起こしているか。「人生アンサンブル」では、参加者の生の声をもとに、コモンビート広報室がお届けしています。


今回の主役は、社会保険労務士として働く「アキ」です。仕事に悩んでいた時、何かきっかけになればと思い、コモンビートの体験会に参加しました。第一印象は、「自分は場違いかも…」というものでしたが、「違和感のある場所でこそ、新しい体験ができる」と信じ飛び込んた彼女に、100日プログラムが終わって日常に戻った今、改めて振り返ってもらいました。(ぜひ、参加の経緯や本番の舞台までの経緯は前編の物語をお読みください)


素の自分を強化する

前編の物語でも触れたように、アキはそれまでの人生において、「他人からこう見られている」と思うと、自分の振る舞いを相手の期待に合わせるクセがあったそうです。でも、このミュージカルにおいては、周りは誰も自分を知らない人たち。そこでは演じる必要はなく、「覆っていた布を10枚くらい外したんじゃないですかね」と楽しそうに笑います。

印象的だったのは、プログラムの最後で、とあるメンバーが発表した大陸別MVPに選ばれた時のこと。その理由は「ぶれずに発信してくれてありがとう」というものでした。自分の意見や情報を、練習の場やSNSで積極的に発信していた、その姿勢が認められたのです。

アキはスタッフでもありません。誰かから与えられた役割や責任を全うしたわけではなく、ただ自分が無意識にやっていた行動を評価されたことが、アキにとっては意外でした。コモンビートの場では、自分という存在が受け入れられる安心感があるので、自分の思った事を発信したり、行動に移しやすかった、といいます。アキはそれを「素の自分を強化した感覚」と語りましたが、そうなれるのは、このプログラムが、「ダイバーシティ&インクルージョン」に基づき、ひとりひとりの違いを歓迎している環境があるからかもしれません。

思いと言葉が一致する

公演を終えて半年が経ち、日常生活に戻ったアキは、今どんな日々を過ごしているのでしょうか。彼女は少し考えて、「人の目を見て挨拶をするようになった」と話します。えっ、そんなこと?そう思うかもしれませんが、もう少し聞いてください。

例えば、これまでは職場に入った時に「おはようございます」という言葉を、特に誰に言うでもなく空間に向かって発していた感覚だったそうです。社会保険労務士として研修をする時も、知識を口から出している感覚になることがあったそうです。ところが、ミュージカルという自分の全身を使って表現する活動を体験したことで、目を見て挨拶するのと同様に、本当に必要と思うことを声に乗せると、相手の反応が変わったそうです。周囲は、「声の張りが違う」「雰囲気が変わった」「何か輝いている」と言います。

自分の考えていることを腹から声にする感覚、そして、それが相手に伝わる感覚を得られたことは、研修講師として人と向きあう仕事をしている彼女にとって、大きな収穫だったと言います。

それぞれの正義と、私の価値は、1ミリも変わらない!

改めて振り返った今でも、100日間の中で印象的だったことは数えきれない…そう言いながら、アキは、最後の練習にて行われた、とあるワークショップでの自分の大きな変化を取り上げてくれました。舞台に共に立つ仲間のひとりひとりが自分にとって大切な存在であること、そして、仲間も自分を大切に想ってくれていること…それが体験として感じられたとき、アキは「自分の存在は愛おしいものなんだ」と実感したと言います。それは「他人の物差しで測られ、何か言われても、私の価値は1ミリも変わらない」という確信に変わったそうです。

いかなる組織やコミュニティでも、意見や価値観の相違から、衝突や紛争が起こることがあります。自分に正義があるなら、苦手なあの人にも正義がある。1つの出来事に対して、様々な正義から見た解釈がある。だから、1つの視点や正義から見える事が真実ではなくて、「そこには様々な視点や正義が関係し合っている」というのが真実。それに、どう向き合っていくのかが大事。彼女は今、このようにコモンビートのミュージカルを通じて確信した事を、研修で伝えています。

100日間のプログラムから日常生活に戻って、こうして振り返ることでさらなる学びが増えていくんだ、と彼女は語ります。「参加したら、こんな自分になるなんて、全く思っていなかった」と。そして、「だから、半年後、1年後に、またちがう自分になれる。それは希望であり、喜びなんです。」と続けてくれました。


アキも参加した、九州での100人100日ミュージカルプログラムは、2024年も開催を予定しています!
ご興味のある方は、ぜひ飛び込んでみてください!

第61期九州100人100日ミュージカル
<キャスト募集>
2024年3月-2024年5月 予定
<プログラム期間>
2024年6月-9月 予定
<公演>
日程:2024年9月21日(土)・22日(日)
会場:キャナルシティ劇場(福岡)