人生アンサンブル_08 自分にはまだ知らない世界がある── オンライン留学が実現させた夢。 | NPO法人コモンビート
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人生アンサンブル_08 自分にはまだ知らない世界がある── オンライン留学が実現させた夢。

ダイバーシティ&インクルージョンは、わたしとあなたのこと──。
コモンビートは、「わたしとあなた」という一人ひとりを起点に、個性が響き合い、多様な価値観を認め合う社会を目指して活動しています。「人生アンサンブル」は、コモンビートの活動に参加者がどのような思いで関わり、仕事や日常生活にどんな変化が起こったのかをコモンビート広報室がお届けするシリーズです。

今回の主役は、「Jump in 週末留学」に参加した、栗林早代さん(以下、くりりん)です。Jump in 週末留学は、世界各地で活動する人々とコミュニケーションをとり、多様な文化に触れられるオンライン留学体験プログラムです。1ヶ月で約10ヶ国、様々な文化や背景の人たちと触れ合うことで、参加者一人ひとりの世界が広がるきっかけになっています。


知らない世界と出会うきっかけ

くりりんさんは、愛媛県松山市で教師としてキャリアを歩んできました。子どもたちに良質な教育を提供するには、自分自身の知識や考え方を常に更新しないといけない。彼女は、そう思っていましたが、地方にいると「日常を越えて学ぶ」機会は限られるという実感があったそうです。更にコロナ禍になり、自分を変えるきっかけを掴みにくくなったとき、くりりんさんが見つけたのがコモンビートの「Jump in 週末留学」プログラムでした。

「仕事のため、向き合う人のために自分を変えたい」という思いが、この出会いを生んだのだと思います。コロナ禍のような状況でも複数の国々と繋がれることは、とても魅力的に映ったそうです。また、いきなり大きく行動するのは難しいけど、オンライン参加ならハードルは低いと感じたのかもしれません。とはいえ、「年齢を重ねているし、オンライン留学で本当に学べるのか?」「初対面の他のスチューデントと打ち解けられるのか?」など、不安があったそう。くりりんさんがJump in 週末留学でどう過ごしたのか、詳しく見ていきましょう。

Jump in 週末留学プログラムのクラス例

最初はよくわからない…、でも徐々につかめた!

Jump in 週末留学のゲストの人たちの国々を挙げると、ラトビア、タンザニア、ドイツ、ニュージーランド、インドネシアなど本当に様々で、クラスのテーマも、暮らし、働き方、エンターテイメント、社会問題と頭を切り替えるのが毎回大変なくらい豊かです。日本語のサポートがあるので、言語も問題になりません。しかし、くりりんさんは「最初の頃、ゲストが伝えようとしていることが、よく分からなかった…」と告白してくれました。日常では触れることのない内容にどんどん直面すると、その人の視点が組み変わるのに少し時間が必要なのかもしれません。

けど、子どもたちに「知識だけでなく人として本当に意味のあること」を伝えたいと思って参加を決めたくりりんさん。じっくりクラスに向き合っていると、言語をこえて、ゲストの発言の芯のようなものを掴めるようになったそうです。「理解したい」という気持ちをもって向き合えば、そこをもとにくみ取れることが必ずある。そのことを彼女の変化から感じられます。

実際のクラスの様子

知識が肌感覚に、そして共有できる知恵へ

ゲストの中には、戦争で住む場所を奪われた人もいます。くりりんさんは、「知識として、難民の状態がどういうものかは知っていた。けれど、それを当事者から聞くのは全然違った」と当時の感想を伝えてくれました。彼女が印象に残っているのは、大変な状況に強制的に置かれているのに、目線を上に向けて語るゲストの姿、言葉の強さでした。今では、メディアでのイメージから、「難民は○○な人」など、誰もがそうであると決めつけるのは、おかしいと感じています。このように知識が肌感覚に変わる体験が、彼女が持っていた視点を深く更新したそうです。

また、Jump in 週末留学では、スチューデント同士が学んだことを共有し、学びを知恵に変える時間があります。スチューデントの背景も様々ですので、そこで語られる言葉、どこに心が動いたかなど、同じクラスを受けていても、学んだことはそれぞれ違う。この時間も貴重で、どう人と向き合うのか、互いに学び合うのか、その土台ができたと感じているそうです。

いろんなところでいろんな人がいるということを学び、自分の考えにこだわらず、いろいろな人の考えを受け入れられるようになったというくりりんさん。Jump in 週末留学のとりこになり、今は開催される度に参加しているそうです。とはいえ、手を挙げて質問するのは、今でも少し気が引けるみたいですけどね(笑)。

Jump in 週末留学が、根っこの夢実現へ背中を押した

今、くりりんさんは、どこで働いているのでしょうか。冒頭でご紹介した職場を離れて、なんとタイで在外教育施設のシニア派遣員として現地の子どもたちに教えているそうです。Jump in 週末留学で「自分には知らない世界がある」「でも、自分にはできることもある」「人と向き合い、互いに学び合う土台がある」そう実感した彼女は、「海外で働きたい。自分の能力をいかしたいと思っていた」と自分の根っこにあった夢を思い出しました。そこからは本人でも驚くように物事が進んで、オンラインではなくリアルに現地に飛び、一歩を踏み出しました。

「この挑戦心に火をつけてくれて、本当に感謝している」と、くりりんさんは優しい笑顔で語ってくれました。その言葉には、抱えていた真剣な思いをもとに、少しだけ勇気を出し、出会いをいかし、自分を変えた人の、静かだけど確かな自信がにじんでいました。彼女に、Jump in 週末留学を提供するコモンビートの印象を聞いて、この物語を締めくくりましょう。

Jump in 週末留学の、「失敗=ナイストライ」と捉えて、お互いの違いを認めあう所がすてき。だから、スチューデントの卒業プレゼンが本当に多様になるのもうなずけるし、心地がいい。こういう場づくりができるのが、コモンビートらしさだと思う。

私たちにとって、とても嬉しい言葉です。いつかJunm in 週末留学で、くりりんさんにゲストとして話してもらえるかな?彼女がそうだったように、自分を変えるちょっとした出会い、きっかけを模索している人たちに思い、経験、多様なキャリアなど、思う存分に共有してほしいです。

タイの街角で

くりりんの物語は、まだまだ続きます。

世界各地とオンラインで繋がり、様々なバックグラウンドを持つ人とコミュニケーションをとりながら多様な文化に触れることができる留学体験プログラム「Jump in 週末留学」、参加者を募集中です!