ダイバーシティ&インクルージョンは、わたしとあなたのこと──。
コモンビートは、「わたしとあなた」という一人ひとりを起点に、個性が響き合い、多様な価値観を認め合うことを目指して活動しています。コモンビートの主な活動であるミュージカルを、参加者がどのように始め、そして生活、仕事にどんな変化を起こしているか。こちらの「人生アンサンブル」では、参加者の生の声をもとに、コモンビート広報室がお届けしていきます。
自分らしくあるために、舞台に立つ?
今回の主役は、社会保険労務士の「アキ」です。社会保険労務士とは、労働関連法規を熟知し、雇用や就業の規則を作るなど、あらゆる労働・社会保険の問題を解く専門家です。こう聞くと、「さぞかし志を高く、順風満帆なキャリアを歩んできたのだろうな…」と思うかもしれません。すると、アキは「全然そんなことないですよ」と苦笑しながら答えてくれました。どういうことでしょうか?
アキは、一般事務や営業事務として、様々な職場を転々としていたそうです。自分に全く自信がなく、とある会社では挫折も経験しました。そんな40歳の時に、「自分の意見として提案できる資格を取ろう」と一念発起して、社会保険労務士に挑戦しました。一から勉強して、3回目の挑戦でやっと合格したそうです。
「なんだ成功物語じゃない」と思ったかもしれません。ですが、彼女は、社会保険労務士として意気揚々と働き始めたものの、重圧に耐えられず心の健康を崩して退職します。それからは、「自分らしく生きる、働く」を探求する日々になり、「そもそも、自分らしさって何?」と落とし穴にはまったそうです。個性が求められる現代ですが、実際に自分らしさと問われると、心もとない方も多いのではないでしょうか。
そんな時に偶然の出会いがあり、「もし全ての条件が揃うなら、今、何をしたい?」と尋ねられました。アキは、直観的に「舞台に立ちたい」と答えていました。そこに確かな理由や根拠があったわけではありません。頑張って取得した資格でも力を発揮しきれていない、自分らしさに悶々とする、そんな状態を経ての直観に、彼女は従います。そしてコモンビートのミュージカルを見つけ、舞台に立つことを決めました。
初めての私を、大好きな人たちに見せたい!
今、アキは、どういう風にミュージカルに取り組んでいるのでしょうか。徹底した感染予防対策のため、練習の回数は多くはありません。一緒に演じる仲間との触れ合いが限られるのも、仕方のないことです。そんなこともあり、稽古期間の前半に体調を崩してしまったそうです…。
でも、「そもそも、自分らしさって何?」と悩み、それを解決するために越境した。稽古に加えて、ダイバーシティ&インクルージョンに納得し、自分らしさを見つめ直す機会も増えました。何よりも、大好きな家族、友人に初めての自分を見せたい!という思いは強くなったそうです。
そして今、「苦手なことは、できない」という固定観念が、覆りつつあると言います。ここに来て、「想像もしなかったことが人生には起こり得る、そして、自分の可能性を信じられる」という気持ちがアキの中で育ってきました。
2023年3月19日、福岡のキャナルシティ劇場に来ませんか? キャスト一人ひとりから滲み出るストーリーに触れることで、観る人それぞれに何かが届くと思います。
「人生アンサンブル」アキの物語は、本番舞台を経て、後編に続きます。