閉じ込めるのではなく、広がる余白を大切に。 See the difference〜学校が閉じ込めている個性〜開催レポート | NPO法人コモンビート
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閉じ込めるのではなく、広がる余白を大切に。 See the difference〜学校が閉じ込めている個性〜開催レポート

8/9(火)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第18回が開催されました!今回のゲストは、中学校教諭をされている青山久美子(なごみ)さんです。

ゲストのなごみさん(写真左上)

「多様な価値観を認め合える社会の実現」というコモンビートのビジョンに強く共感しているというなごみさん。その背景には、ご自身の経験がありました。
自分が苦しい思いをしているように、当事者の人も苦しい思いをしているのではないか。そう感じる中で、多様な価値観を認め合える社会になってほしい、そのために自分は何ができるのだろうか?と考えるようになったとお話ししてくれました。

小学校から中学校へ異動して感じた「苦しさ」と「ギャップ」

大学卒業後から10年間小学校で勤めたのち、今年から中学校へ希望して異動したなごみさんは、小学校と中学校の間にあるギャップを感じ、そこに苦しさを覚えたそうです。

中学校では、勉学や部活動など活動の幅が広がります。活動が充実する一方、自ずと日々の学校生活は忙しくなります。のびのびと自由に楽しめる時間が多い小学校と比べると、生徒も先生も、やることに追われたり、時には窮屈に感じることも。そんな中でも、生徒たちのやりたいことや個性をどうやったら引き出すことができるか、教師として自分ができることを模索する日々だと言います。

それって本当? それって必要?

小学校と中学校の違いの中でも特に顕著なのは「校則」と「制服」だと感じているそうです。例えば、「ツーブロック(※)禁止」の校則。みなさんは、なぜこの校則が定められているのか、理由を想像できますか?
生徒になぜダメなのかと聞かれて自分の言葉では説明できなかったというなごみさん。先生たちの間では、<中学生らしい髪型であるべき、受験の準備のため、学校が荒れる原因になる>などといった理由が挙げられているそうです。特に「荒れる」ことに対して先生たちはとても敏感で、荒れないように…と指導することを求められると伝えてくれました。
制服についても、成長の証を感じさせる一方で、みんな等しくカチッとした装いをすることで同質化していく空気感も生み出しているのかもしれないという言葉に参加者のみなさんも頷いていました。
社会に出るための身だしなみやマナーは大切だとは思いますが、その規則は本当にそのために必要なものなのでしょうか。

※ヘアスタイルの種類。

それでも、工夫していることは…

葛藤を感じながらも、その中でなごみさんが工夫したり意識したりしていることを聞いたところ、「遊びの時間」を作ることだと答えてくれました。忙しい中学校生活では、ふとした瞬間に起こるような、何気ないコミュニケーションがつい後回しになってしまうそう。ですが、そんな余白のある会話こそ、お互いのことを知り仲良くなっていくチャンス。なごみさんは、生徒たちが少しでも自分のことを話したり、好きなことを相手に伝えたりする空間を作れるように、日々工夫しているそうです。

「閉じ込める」のではなく「開放する」

なごみさんの話を聞いていると、先入観や固定概念に囚われることなく、生徒一人ひとりを信じて、そして真正面から向き合っているように感じました。ですが、先生になったばかりの頃は生徒たちを箱に入れようとしていたと言います。そこから経験を重ねて、色々な生徒と関わるうちにその箱が少しずつ外れていったのでしょうか。環境も価値観も違うのだから自分の言っていることが必ず伝わるとは限らない。「時には自分が間違っているかもしれないし、それなのに自分の価値観で縛り付けたらもったいない」という言葉がとても心に残りました。お互いが違う存在であることを前提に、一方的に教えるのではなくともに学び合う姿勢が、なごみさんの軸となっているように感じました。

今回のお話の中でなごみさんが、生徒だけじゃなく、先生同士も箱に閉じ込められていることもあると言っていたことがとても印象的でした。経験も生徒との関わり方も違う中で、同じであることを求められて、周りと違うと責められたりする。私たち大人が互いの違いを尊重することができていないのに、子どもに対して個性を認め合える環境を作るのは難しいのではないかと感じます。
参加者のみなさんからも「先生方が理想を追い求められるような環境や社会のためになにができるだろう?」「他人事としてではなく、自分も社会を作る一員としてできることをしていくことの大切さも学んだ」などといった言葉があがっていました。
大人が変わり、社会が変わり、未来が変わっていくためにはどのように日々過ごしていけば良いのか、改めて考えさせられる機会となりました。

イベントの最後は、明日から実践したい小さな一歩をシェアする「アクション宣言」!
学んだことを自分の生活にどう活かすか?を考えるのもこのイベントの魅力です。

編集後記

今回のSee the differenceは、現在学生インターンとして関わっている橋本佳恋(かっきー)(写真1枚目・下)が中心となって企画しました!学校でいじめられ、自分を押し殺していたというかっきー。常に周りの視線を意識して行動するうちに、今度は自分がマジョリティ側に同化して人を排除したりしていないか?と考えるようになったそう。大学生になり、多様な大人と関わる機会も増えた中で改めて当時を振り返り、「なぜ学校で違いを認め合えないのだろうか?どうしたら違いを楽しめるようになるのだろうか?」そんな疑問が湧きあがったかっきー。その疑問が今回の企画へと繋がりました。
ゲストとの打ち合わせから当日まで、かっきー自ら企画運営を頑張っています!
かっきーが主体となって作り上げるSee the differenceは今後も続きます。インターンの奮闘をお楽しみに!

次回9/21(水)開催のSee the differenceのテーマは、「平和の花を咲かせたい!マレーシアで学んだ多文化共生のヒント」です。ぜひお楽しみに!

インクルージョンチーム
チーム長 上原紗英(ぽす)