“自分らしく、たくましい個人を増やし、多様な価値観を認め合える社会の実現を目指す” NPO法人コモンビート(以下、コモンビート)は、学生から社会人までさまざまな年齢や職業の100人が集まり、お互いの個性を響き合わせて作品を創り上げる「100人100日ミュージカル®プログラム」を全国各地で開催しています。
プログラム参加者の生の声をリアルタイムでお届けするシリーズ『人生アンサンブル』。第1回は、2022年7月にコロナ後初となる東京公演の練習中に、一杉大介(通称:いっちゃん)にインタビューを行いました。このプログラムでいっちゃんはどのような経験をし、何を学び、それはその後の人生にどんな変化や影響をもたらしたのでしょうか。
参加の決め手 “先生として、一人ひとりの違いを認め合えているだろうか”

普段は小学校教員として働く、いっちゃん。日々、子どもたちに大切なことを教えるなかで突然、コロナ禍に見舞われました。不安と動揺が広がり、価値観が揺らぐ中、ふと10年前にコモンビートの公演を見たときのことが思い出されました。
「舞台に立つ人々が、単に演技で表情を作っているのではなく、心からの幸せを感じてステージに立ち、それが客席までしっかりと伝わってきました。
“どんなプロセスを経て、みんなあの表情にたどり着いたのだろう”
“自分もあの場に立ってみたい”
そう思うと同時に、
“教員研修で『ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)』という言葉を聞いたりするけど、自分は先生として、一人ひとりの違いを認め合えているだろうか”
という疑問がありました。そういったモヤモヤを拭払したいと思い、参加することに決めました。」
“ミュージカルは初めてだけど、誰かの力になれることはある”

いっちゃんにとってミュージカルは初めての経験。「もうこれは、一生懸命に練習するしかない!」という一心だったといいます。
「今思うと、 “こんな自分でも大丈夫だろうか” “迷惑になっていないだろうか” という不安の裏返しだったかもしれません。作品への想いや、共に練習する仲間の想いに向き合い、素直に、そして丁寧に、表現することにこだわりました。
練習するにつれて、
“いっちゃんの一生懸命な様子に刺激をもらえる”
“いっちゃんがいると、安心する”
と、言葉をかけてくれる仲間たちがいて…
『ミュージカルは初めてだけど、誰かの力になれることはある』
そう強く感じたんです。
そして、仲間とミュージカルを作っていく中で、たくさんの対話がありました。例えば、
“自分はどんな人物を演じるのか”
“その人物は、物語の中でどんな変化を遂げるのか”
を仲間と一緒に話し合ったことがあります。自分が演じるキャラクターを通じて、
“自分はどんな人間でありたいのか”
“どんな人生を歩んでいきたいのか”
という願いや想いを投影していることに気づきました。それは、ただの役作りに留まらず、自分自身と向き合う大切なきっかけとなりました。」
“誰かに助けを求めること、自分も誰かの助けになることの大切さを学んだ”

コモンビートで変わった、これからのわたし
普段、学校の先生として子どもたちを導く立場のいっちゃん。しかし、ミュージカルではわからないことだらけで、しかも、ほぼ全員が初対面。最初は、「できない」「分からない」「教えてほしい」といった気持ちを素直に伝えることに抵抗がありました。
「そんなときに、勇気を出して『力を貸してほしい』と伝えたんです。そしたら、『いっちゃんだったら、こうしたらいいかも』と温かく教えてもらうことができました。
この “Help!の力” は、ミュージカルが終わった後も、日常生活で生きています。
誰もが完全ではなく、お互いの視点を組み合わせることで、新しい可能性や面白い未来が生まれる。
ミュージカルに参加することで、誰かに助けを求めること、自分も誰かの助けになることの大切さを学びました。互いの違いのままに歩み寄り、支え合う心地よさを知りました。」

今回は、小学校教員の一杉大介(通称:いっちゃん)の参加の決め手やプログラム中の想いを紹介しました。
『一人ひとりの小さな変化が、よりよい社会を創る。』
コモンビートのミュージカルの参加には、歌やダンスや芝居の経験は問いません。
学生・サラリーマン・主婦・経営者に、外国人や障がいのある方やご年配の方まで、
これまで全国で7,500人の市民が、舞台に上がってきました。あなたもぜひ一緒に、ステージに立ってみませんか。また、100人のキャストがハーモニーを織りなす本番公演の劇場にもぜひ足をお運びください。お待ちしています。