障害は程度でしかない See the difference〜小さな一歩が広げるカラフルな世界〜開催レポート | NPO法人コモンビート
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障害は程度でしかない See the difference〜小さな一歩が広げるカラフルな世界〜開催レポート

4/20(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第13回が開催されました!今回のゲストは、一般社団法人Buranoの理事をされている秋山政明さんです。

みなさんは、「障害」と聞くとどんなイメージを持ちますか?少しネガティブに感じる方もいるかも知れません。今回の開催レポートでは、そう感じてしまう社会の仕組みや、障害というイメージをポジティブに捉えるためのヒントをお届けします。

秋山さんご登場!

大学生活をアメリカで過ごされた秋山さん。そのためか、大学時代から「違い」についての感度が高かったと言います。そんな中で秋山さんは、自分自身ではコントロールができない部分で自分が恵まれていたことに気づいたそうです。そして、仕事を通して世の中をよくしていきたいという想いから、地元である茨城県古河市の市議会議員選挙に出馬し当選され、今は一般社団法人Buranoの理事をされています。

笑顔でご登場下さいました

一般社団法人Buranoが生まれたきっかけ

秋山さんは医療的ケアが必要な長男が生まれたことがきっかけで、医療的ケアが必要な子どもや、重度の障がいのある子が生まれることによって連鎖する複合的な課題に対して、面で解決できる事業モデルを立ち上げられました。

世界で一番赤ちゃんが死なない国

日本では、発達した小児医療が無料で受けられると教えて下さいました。そのため、過去10年間では助からなかった子どもたちが、今は生きられるようになり、社会に出てこられるようになってきたそうです。しかし今の社会にこの子たちが安心して戻ってこれるでしょうか。そして私たち自身の近くに重度障がいの子どもたちが戻ってきたとき、上手に対応できるでしょうか。私たちが障害をポジティブに捉えられるようになれば、この子たちがもっと生きやすい社会になりそうです。

障がいは程度

さて、私たちはどうすれば障がいをポジティブに捉えることができるのでしょうか。「障がいをどう捉えているのか」と言う質問に、秋山さんはこう答えて下さいました。
「自分の子が障がいであることを感情的に受け止められてない側面と、ちょっとずつ受容できてる理性がある。捉え方は日々変わる。」

そして、障がいは程度でしかないと考えているそう。
「例えば、足が遅い人と速い人を比較したとき、それはできる・できないじゃなくて、筋肉の強さの程度が違うだけ。同じように、歩ける人と歩けない人を比較したときも、できる・できないではなくて、筋肉の強さの程度が違うだけ。だから、人間的な価値を比較することは全く意味の無いこと。」
この考え方は、他のところにも応用できそうです。例えば、視覚障害に関しても視力の強さの程度であると考えることができます。この開催レポートを読んでくださっている方の中にも、視力が弱く、メガネやコンタクトレンズを使用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その他、話す速さや思考の速さなども全て、できる・できないではなく、あくまでも程度の差でしかないと考えることができそうです。

でも…世の中は「障がいがある、ない」で判断している

今回のイベントのタイトルにもある、「カラフル」な世界にして行くにはどうしたら良いのでしょう。
「僕たちは、障がいのある方との関わり合いが日々無いから、どんどんその存在だけが大きくなっていって、自分の中で受け止め方が分からなくなっていって、距離が出てきてしまう。逆に子どものうちから自然と地域に当たり前に存在してるという認識で、関わってたら、きっと、その子自身として捉える。」
生活拠点が分けられてしまっていて、私たちは障がいのある方と関わる機会はほとんどありません。私自身も、小学生の頃は特別支援学級が少し怖く感じたことを思い出しました。

さらに、秋山さんは面白い例を出して下さいました。

トーク中笑顔になるシーンも!

「イケメンを見つけたときに『めっちゃイケメンだな』って見る。そうすると、イケメン過ぎて緊張する。でもその人と関わっていくと、イケメンかどうかじゃなくてキャラクターが見えてくる。」
どうしても、人は見た目から入る割合が高くなりがちです。しかし、「障がい者がいる」や「イケメンがいる」じゃなくて「○○さんがいる!」と言えるように、積極的に関われる機会を持っていきたいと思いました。
最初は関わることが怖いかも知れません。しかし秋山さんはこうおっしゃいます。
「『かわいそう』から入ったとしても、関わり続けることによってその人の捉え方は変化していく。だから、どう捉えて良いかわからないからといって縮こまる必要は無い。」

私たちに出来る小さな一歩

秋山さんは、知らない人がたくさんいるショッピングモールなどに行くと、息子さんを見る周りの目が気になるそう。でも、Buranoの周りの半径500mの地域は通い慣れていてすごく居心地が良いそうで、この範囲を広げていきたいとおっしゃっていました。「局地戦をしていって、半径500mを1kmに広げていきたい。そして、違う場所にも居心地の良い場所を増やしていきたい。」そうおっしゃっていました。私たち自身も、障害をポジティブに捉えられるようになれば、居心地の良い場所を増やせるかもしれません。

未来はポジティブに変わっていく

全体での対話の時間には、身近に障がいのある方がいらっしゃる参加者からの質問や、出生前診断についての話もありました。どちらのお話しも、障がい者と関わっていくことへの不安が感じられました。
秋山さんはその不安に対して「そこまで覚悟しなくても大丈夫ですよ」とおっしゃいました。「どういう生き方にするか、どうポジティブに変えるかって言う余白はその後あるから、やりようによって変わる」「短絡的に見ると大変だけど、長期的に見ると、得られるものはたくさんある。子どもは成長していくし、環境も変わっていく。未来のことはポジティブに変わっていくと信じて、肩に力入れすぎずに。」

イベント最後は、それぞれが踏み出すアクション宣言!

その子が生まれないと得られないものがあります。そして、それはきっと私たち自身に対しても言うことができるでしょう。未来はポジティブに変わっていくと信じ続けたいと思います。
ゲストの秋山さん、参加者のみなさん、学びある時間をありがとうございました!

次回の5/21(土)開催のSee the Differenceのテーマは、「新緑の森で森林浴〜考えることをやめて感じてみよう〜」です。See the Difference初のオフライン開催です!ぜひお楽しみに!


インクルージョンチーム 学生インターン

橋本佳恋(かっきー)