大学生が卒業をしてすぐに就職を迫られる日本のシステムについて、
本当にそれが大学生にとっても企業にとっても良い結果を生み出すのだろうか。
義務教育の最後で高校受検という「職業選択の第一歩」を迫られる。
中学三年生で「将来何になりたいのか」を考えなくてはならない。
そしてよくわからないままに高校を選び、そして1−2年で大学選びをしている。
大学を選ぶというのはある程度の専門性を選択することになるのだが、
将来像がわからないままにそうした選択を迫られる。
高校を選ぶ際に専門性を考えなくてはならないこともある。
そして、大学の2年にもなると就活準備が始まり3年生の時には職が決まる。
よくわからないまま社会に出て、早期離職がおき、転職を繰り返し、自信を失う人も多くいる。
これは、とても不幸なシステムではないだろうか。
こうした問題を解決しようと、中学校や高校あたりからキャリア教育を取り入れる動きもある。
選択肢が多ければ多いほど、選べる幅は広がることは確かだが、
やはり、そうしたキャリア教育をしても、社会の実態とのギャップは生まれる。
「会社を選ぶ」というハードルはとてつもなく大きいし、
「職種」は辞書で調べて想像するものとは全くかけ離れた実態がある。
「キャリア形成」の方法は無数にある。
だから会社に入って困惑をしてドロップアウトしてしまうことになる。
学生には、社会と接する時間が絶対的に足りないように思う。
社会で働く大人たちと一緒に何かをする機会も少ない。
接点も交流もないから、学生が得られる情報も偏っている。
社会や会社などの実際の情報など、ほとんど伝わっていないんじゃないだろうか。
コモンビートのミュージカルプログラムには毎回、数人の大学生が参加している。
そもそも、4万円近い参加費を自己投資するということだけでかなり意識が高い。
自ら社会人の中に飛び込み、一回りも二回りも上の社会の先輩と対等に作品を作っていく。
社会人も学生に気づかされることが多いし、そういう刺激を求めて参加している人も多い。
学生にとっては、そうした意識の高い社会人と出会えるチャンスがあるし、
およそ100人の社会人という「社会人サンプル」がそこにある。
話をすれば、どんな選択をすればどんなキャリアや人生を歩むのかが手に取るようにわかる。
そうしたリアルな社会、またそこで働く人との接点がとても必要なのだと思う。
むしろ、コモンビートに限らず、こうした学生と社会人との交流をもっと増やし、学生が卒業してから2−3年社会でいろいろな仕事を学ぶインターン期間を設けてから就職してもいいのではないかとさえ思う。
でなければ、大学1−2年生でインターンをせざるをえなくなる。
(本来は学業に専念するはずなのだが。)
私は高校を卒業してすぐ、あまり意識しないうちに起業し、必要に迫られて会社を創業したという経歴なのだが、そうなったのも、多くの社会人と一緒に仕事をさせてもらったからだ。
だから就活ということをしたこともないし、サラリーマン(就職)というのも学校を卒業してから20年経ってからのこと。
(そして現在は、採用や人材育成に関わる仕事をしているという、不思議な経緯ですが。)
たとえ仕事じゃなくとも、こうしたNPO活動でも何でもいいから、1つのゴールに向かって一緒に何かをしていく経験が必要ではないだろうか。
そういう中から少しづつ社会のことがわかっていくわけで、社会人になってもまだ社会のことなんてあまりわからないくらいだから、学生が就活するのは博打に近いように思う。
就活は、大学を卒業してからじっくりできるような世の中にならないだろうか。
日本の未来のためにも。