違いと出会い、その先へ。Diversity Journeyで大切にしていること | NPO法人コモンビート
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違いと出会い、その先へ。Diversity Journeyで大切にしていること

年齢も職業も住む場所も違うパッセンジャーを乗せてスタートした、1ヶ月の航海「Diversity Journey」。
この旅では、どんなものに出会い、何を大切にし、そしてどこへ向かっていくのか。
旅の根幹をなす部分について、とある日の航海の様子とともにお伝えします。

「違い」に出会うということ


みなさんは旅といえば何を思い浮かべますか?
その場所ならではのシンボルや、一期一会の出会い、非日常感、…色々あると思います。Diversity Journeyでは、たくさんの「違い」と「知らないこと」に出会います。

文化ってなんだ?

ある日、「探検に出るから探検隊ルックできてね!」という船長からの指示。

どこかジャングルや山を想像させる出立ちで図らずも統一されていたパッセンジャーたちを乗せた船は、想像だにしない場所へと向かっていきました…。

私たちに課せられたミッションは、そんな未知の文化を調査すること。
よく耳にする言葉ですが、「文化」とは何なのでしょうか。


まとめて「文化」と言い表すことも多いですが、その構成要素は様々でとても複雑です。
衣食住や道具のように「見える文化」もあれば、価値観・思想・規範といった「見えない文化」もあります。すぐに認識できるものも、時間をかけて初めて気付くものもあります。
これらの構成要素からも、同じ/違う文化と単純な一括りにするのは難しいことが分かります。

パッセンジャーは、未知なる文化を調査するために、そこに住む人とのコミュニケーションに向かいました。
その未知なる土地の文化や内容については、実際にプログラムにご参加いただいてのお楽しみとなりますが…自分たちとは全く異なる文化を持つ相手に、戸惑いを隠せないまま調査を終えて帰還したみんな。
未知なる文化の調査から見えた、自分自身の「異文化」への捉え方と接し方。一人ひとりが、普段の自分の生活や環境に置き換えて内省をしているようでした。


ーパッセンジャーの言葉ー

・「”調査する”という目的でいたら、初対面の相手にちょっと失礼な質問をしてしまった。」

・「相手の回答が自分が知っていることと繋がらなかった時、無意識に怪訝な顔をしてしまいました。自分が知っていることとどうしても結びつけたくなるからかなぁと思いました。」

違いはどこにある?

異文化は旅の中でしか出会わないものでは決してなく、日常生活の中にもたくさんの異文化が存在していて、私たちはそれら多くの「違い」に既に出会っているはずです。
非日常の中で出会う「違い」は新しく新しい経験として受け入れようとするのに、日常の中にある、隣のあの人との「違い」はつい避けようとしてしまうのはなぜなのでしょうか。

同じ組織に属している、同じ言語を話す、同じ環境の中で生活している…その一部分の「同じ」を切り取って、その他全ても一緒であるかのような前提を持って相手と接した時、そこに現れた違いは違和感となり正しくないように見えてくる。その違いを無理に正そうとしたり、否定したりしてしまうのかもしれません。

私たち一人ひとりも違う文化を持つ存在だと認識して相手と接しようとすることがとても大切だと再認識する時間になりました。
みなさんは、違いに出会った時どんな気持ちになり、どんな反応をしていましたか?

旅で大切にしていること

そんなたくさんの違いに出会う旅の中で、ひとつ大切にしていることがあります。
それは、「もやもや」を「もやもやのまま」まず受け入れてみることです。

私たちは何かに出会った時、つい自分の価値観の枠組に当てはめたり、過去の経験に囚われた答えを出したくなってしまいます。その結果、本質がこぼれ落ちて、視野が狭くなってしまうこともあるのです。

自分の周りには「違い」がたくさんあって、「知らないこと」がたくさんある。
そんな前提を持って、決めつけずにまず一呼吸置いてみる。そのままもやもやしてみる。

もやもやをそのまま受け入れることで、当然心はもやもやしますが、私たちの旅の中ではそれすらもお互いに共有しあいながら日々進んでいます。

私たちが向かう先は

この旅を通して、私たちはどこへ向かっていくのか。
一つは、旅のアイテムとしても挙げた「コンパス」を見つめてみることです。日々目まぐるしく変化する社会の中で生きる中で、自分の人生を導く指針はどこにあるのか。
D&Iを中心とした様々なインプットや、それを題材とした仲間との対話を通して、自分自身の中にある価値観や尊重したいことを見つめ直します。

そしてもう一つは、社会に対して小さな一歩を踏み出すということです。
Diversity Journeyでは、「DJ Showcase」と呼ばれる個人発表の場があります。そこでは、一人ひとりが社会に対して起こしたいポジティブなアクションを宣言し、それに対して100日間のチャレンジを行います。ただ学ぶのではなく、そこから実際の行動へと移してみることが、この旅の一つのゴールになります。

Showcaseを作るにあたり、パッセンジャーに「あなたは、どんな社会を”目指したい”ですか?」と問いかけました。
それぞれ異なる理想の社会像がありましたが、それに対して「じゃあ、あなたはそのために何ができますか?」と重ねて質問をしました。

自分の目指したい社会と、今の現実の間にはどんなギャップがあるのか。そこに対して自分ができることは何なのか、パッセンジャーは悩んでたくさん考えてShowcaseへと臨みます。


私たち一人ひとりが社会に対して持っている影響は、大きくはないかもしれません。
しかし、どんなに小さな一歩だとしても、その一歩すらなければ社会は決して変わることはありません。
Diversity Journeyでは、社会に対して私たちはどんなアクションを起こしていけるのか?という視点を常に持って、旅路を続けていきます。

ひとりひとりの違いチーム 上原紗英(ぽす)