コモンビートの活動には、一切、マニュアルというべきものがありません。
ミュージカルの実施も、演技や歌などの指導にも、一切ありません。
「マニュアルがない」ということはどういうことかというと、毎回のプログラムを1から作るということになるのです。
コモンビートは、「集まる人に最適なプログラムを提供したい」と考えているので、「集まってから考える」というスタンスがあります。
だから、毎回、総合演出であるハンチュソンは、ひとりひとりと話をしていろいろなことを感じ受け取り、膨大な時間を費やして、集まった人に合った内容をその時々、その場で作っていくのです。
そして運営するスタッフ側も同じく、情報は渡すものの、過去の事例や前提に囚われることなく、毎回自分たちで作り上げるということを意識しています。
マニュアルはないので、「経験者から経験を受け継ぐ」ということをしなければなりません。
なんとも非効率で時間のかかることをしていますが、実はこの作業がとても大切なのです。
マニュアル化すれば運営は楽になりますが、創造性が失われます。
また、マニュアルの冊子にある情報になってしまうので、そこに書かれていることだけが「すべて」になってしまう危険性があります。
そして、経験を受け継ぐための人と人とのコミュニケーションが失われてしまいます。
世の中は便利になってすべてが効率化されています。
ですが、効率化されたことで短縮された時間が「過程」という、学びや関わりの時間をも失ってしまうことは、あまり意識されません。
「過程」にある、手続き1つ1つがとても大きな資産になっています。
もちろん、運営をしている中で効率化を図る必要は当然ながらあります。
しかし、効率化すべきことと効率化すべきでないことがあるということ。
コモンビートの活動を通じて、私たちもいろいろ気付かされる毎日です。