「愛のもつ力は無限大」。
私は普段、中学校の教諭をしているのだが、
このことはそこで生徒に教えてもらったことである。
偏屈で、自己中心的な皮肉屋の心は、このお陰で少しずつ穏やかなものへと変化していった。
教室では、「奇跡」が起きる。最初はバラバラだった心が、１つの方向を向き始める。
時間をかけ、苦楽を共にした仲間に絆が生まれる。そしてそれが具体的な行動となって現れ始める。
「ほわぁ」っと心の奥底が温かくなるような、えもいわれぬ不思議な陶酔・・・
野卑に満ちた言葉や、計算し尽くされた上辺だけの浅はかさなど入り込む隙間のない、人間が「純粋に感じる心」。私はこれを、人生を意味有らしめる最高のものだと信じてやまない。
何かを変えたいと思っていたわけではない。ただ単純に「楽しいことがしたい」と思ったから。これが、私がコモンビートに参加した理由だった。
１００日経って、ここには確かに「楽しさ」があった。紆余曲折を経て、愛すべき仲間と共に奇跡を起こすという「感動」があった。
「愛のもつ力は無限大」という言葉の意味を再確認することができた。
そしてもう１つ。今回の公演に、多くの知人が来てくれた。その中には、かつて叱り倒してきた生徒たちも大勢いた。
大柄で強面の私は、怒ると恐い存在。言い換えれば、
生徒からするとやや疎ましく、煙たい存在である。
私も人間だから、やはり人から嫌われるよりは好かれたいという思いはある。
しかし、妥協に甘んじて指導を蔑ろにすることは、結局生徒のためにはならない。
いろいろな葛藤の中で、私は自分の信念は曲げずに突き進んできた。
生徒に苦しいと感じさせることもあっただろう。そして思いが上手に伝わらず、もどかしい、歯がゆい、悲しいと感じることもあった。
だが、そんな生徒たちが、「先生がミュージカルに出るんだって！」という話が広まったことで、大勢来てくれた。
もう社会人となったかつての生徒たちも、お金を支払ってまで観に来てくれた。
純粋に嬉しかった。感動した。
「愛のもつ力は無限大」という言葉の意味を、ここでもまた再確認することができた。
人はよく気軽に「全力を尽くす」という言葉を口にする。
その言葉に確かに嘘はないのだろうが、その答えは決して偽れぬ自らの心にダイレクトに響いてくるものであるとも思う。
私は全力で取り組んできたからこそ、「純粋に感じる心」を刺激されるような、大切なものを沢山見つけることができた。
全力で一緒に頑張ってきた皆に、そしてそれを全力で応援してくれた皆に、本当に本当にありがとう。
33期緑大陸権力者 境 啓悟（Ｋ５♪）