スタッフとして関わることになった100日間。
スタッフとは100日のプログラムで何をするか考え、運営するチーム。
キャストも兼ねるポジションです。
今回、私はキャプテンという立場で関わりました。
キャストとして、うた、ダンス、衣装、チケット、全部やらなきゃいけない。
スタッフとして、みんながどんなことを感じているのかアンテナを張らなきゃいけない。
社会人として、仕事をちゃんとやらないといけない。
「やらなきゃいけない」ことづくしで、本当にしんどいと思ったことがたくさんありました。
どんな苦しいことがあっても、キャプテンとして常に105人のキャストの先頭にいる。
だからこそ、「背中で魅せる」姿勢を絶対に忘れないようにしていました。
だけど、その姿勢がいつしか仲間との間に「線」を引いてしまったのです。
そんな中、初めての衣装付き全とおし。経験キャストがたくさん応援にかけつけてくれました。
そして、彼らに「歌詞を一文字一文字伝えたい」という思いがあふれ出てきて、
泣きながら、歌を歌っていました。
やがて世界は生まれ変わり、長い夜にも朝が来る
受け継がれてきた僕らの鼓動
きっと未来につながっているから
自分の魂が体から抜けてしまったとしても、
このメッセージだけは目の前にいる相手に伝えたい!
そんな思いで歌ったら、見てくれた人が「伝わったよ!」って目で合図してくれました。
ものすごく嬉しくて、涙がとまりませんでした。
このときから私の発信姿勢が大きく変わりました。
「自分の素直な思いを魂込めて伝えよう」
それからは「線」を越えることを恐れずに、自分の思いを素直に伝えることに専念しました。
この時の経験が、100日後の本番の舞台で生かされました。
とにかく自分の仲間、来てくださったお客さん、支えてくださったスタッフのみんな、「みんなに伝えたい」という思いがあふれ出ていたのです。
今思えば、一番自然に自分を表現できたのが本番だった。
それと同時に、お客さんと一切距離を感じませんでした。それはきっと、お客さんとキャストがお互い線を越えていたからじゃないかな。
「魂で伝える」
「線を越える勇気」
今までの私の人生に欠けていたものだったと思います。
ここで学んだことは今、私の仕事で生かされています。
今思えば、私にとってのミュージカルの100日間は101日目を一歩踏み出すための土台だったのではないでしょうか。
今は素敵な気付きを私に与えてくれたみなさんに感謝です。
ありがとうございました。
水谷 みゆき(えむえむ)