「もう最後なんだね」
声が聴こえた最後の練習合宿の朝。
泣いても笑っても、
これが本当に最後の二日間。
合宿初日は9月19日(土)。
琵琶湖のほとりにある
「びわ湖青少年の家」が締めくくり練習の舞台。
100人がミュージカルを創りあげるために、
最後の時を過ごします。
「もっと時間が欲しい」
100人の心には、
どこかそんな思いがあったのかもしれません。
僅かに不安な面持ちが見えることもありました。
それも、
多くの方に「A COMMON BEAT」の素晴らしさを伝えたい!
観てくれた人が、
何かを感じて、
明日の原動力にして欲しい!
真剣にそう願う100人がいたからこそ、
芽生えた感覚だったのでしょう。
本番公演を想定した2回のシーン全通し。
本番さながらに行われる、
この練習は全員のボルテージを大きく引き上げるものでした。
今まで積み上げて、
創りあげてきたものを「全部出し切る!」
舞台袖で目を瞑る私達。
その瞼の裏に映るその光景は、
舞台の向こう側に見える観覧席。
私達100人だけでなく、
観る人も含めた全員で創りあげていく舞台。
様々な想いがこみ上げる中、
進み出した一歩。
そこには、
朝とは違う大きな自信の表情が漲っていました。
100人の個性が響き合う。
この姿を、
「虹」と表現した山内優弥(ゆうや)さん。
私はその言葉にとても大きな意味を感じました。
4つの異色の大陸があり、
それが最後には煌めき合う。
まさに個性の響き合いがテーマになる、
このミュージカル。
ただ混ざり合ってしまえば、
光は色を失ってしまう。
それは個性の響き合いとは呼べないものでしょう。
「違いがあっていい」
違いを認め合いながら、
その存在と共に明日へ向かう。
この虹という一文字は、
そのことを教えてくれました。
どの色の存在もしっかりと認識できる虹。
境界にはその色と色の間が存在し、
全てが単一にはなり得ない。
様々な色が、
そこにありながら、
色彩を失わずに存在できている。
この素晴らしさは、
私達の心に何かを訴えかけてくれます。
だから、
見る人を感動させてくれるのではないでしょうか。
「あっ虹だ!」
どこか心が踊る感覚。
彩る光の輪を見つけて、
思わず叫んでしまいます。
誰もが経験していることでしょう。
私達の目指す姿は、
そんな身近なところにあったのです。
100人いれば、
100通りの考え方が生まれる。
想いもどれも100通り。
ただの一つも、
同じ人はいないのです。
でも、
「それでいい」
いや、
それだからこそ、
この世界は面白いのだと感じます。
見知らぬ100人が、
今こうして笑い合い、
涙しながら語り合えること。
それだけでも、
十分に価値があるものです。
「もう最後なんだね」
この言葉には、
寂しさや不安の中に隠された、
虹への出発の灯火があるのだと、
私は強く信じています。
以上、
最後までお付き合い頂き、
ありがとうございました。
ちょっとだけ…
ほんのちょっとだけ変わり者の足立悠介(ゆうちゃん)が、
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33期キャスト 足立悠介 (ゆうちゃん)