■ストーリー
”自分らしく生きる。”
声高にそう叫ばれるようになった社会で
どこか置き去りにされたような自分を感じること
きっと誰にでもあると思います。
誰だって自分らしくいたいし
そうあれたらいいけれど
現実には
心もとない自分らしさをどう発揮すればいいのか
相手の自分らしさをどう受け入れたらいいのか
自分と相手との「違い」は
不安や戸惑いを生み、
お互いから背を向ける理由にも
なってしまっているのではないでしょうか。
コモンビートはこれまで、個性が響きあう、
多様な価値観を認めあえる社会を目指し、
さまざまな活動を続けてきました。
メインプログラムであるミュージカル『A COMMON BEAT』では、
参加者7,000名、観客数24万人を動員。
プログラムを終え、
それぞれのフィールドで躍進する仲間たちとのつながりは、
いまや全国、そして世界に広がっています。
非日常ではなく、日常の中で「本来の自分」に戻る。
私たちが表現活動にこだわるのは、
それが「ありのままの自分」に戻る体験だからです。
自分をありのまま受け止めることは、
他者との違いを受容する力になる。
それは、ひとりひとりが個性を発揮し、
多様で調和した社会を形づくる大切な一歩だと
私たちは考えます。
一方で、私たちが目指す社会への道のりは
決して平坦なものではありません。
これだけ経済発展を遂げても
どれほど「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」が叫ばれても、
私たちが本当の意味で豊かなのかと問われれば
胸を張ってそうとは言いきれないのが現状です(※注)。
だからこそ、コモンビートにできることは何か。
もう一歩踏み込んで、その役割を追求していくべき時ではないか。
表現活動を軸に、さまざまな活動を行っていくこと。
私たちのミッションは、今までもこれからも、変わることはありません。
しかし、多様で調和した社会を実現するには
その担い手が、もっともっと、必要です。
たとえば
教育機関や行政とともに
私たちのプログラムを幅広く届ける。
コモンビートを巣立った卒業生たちの
新しい活動やコミュニティ創造をサポートする。
企業や団体ともさらに連携して
社会課題の解決に挑んでいく。
必要なのは 少数の優秀なリーダーではなく
「ありのままの自分」を受け入れた
たくさんの「わたし」。
国でもなく社会でもなく、人を起点に、
「違い」を豊かさだと思える意識と行動を
世界中に広げていくことです。
どこにいても、どんなときも
自分という個性に、心から満たされて生きる。
ひとりひとりの幸せは
多様な価値観を認めあえる社会の、
その先にあると 私たちは信じています。
仕事も、子育ても、地球規模の課題も。
あなたとわたしでは
できること・できないことが違います。
でも、あなたとわたしがいれば
可能性はもっと広がります。
「違い」の中にこそ
「共通の鼓動」はある。
その原点に立ち返り、
コモンビートは改めて一歩を踏み出します。
地球上の誰もがよりよく、幸せに生きる未来に向けて
あなたとわたしから踏み出す
最初の一歩です。
※注釈 英国のシンクタンクによる「国の繁栄」をランク付する新しい指標「レガタム指標(TM)」(2020年)では、日本は総合19 位ながら、12のカテゴリーのうち社会関係資本(ソーシャル キャピタリ=家族以外のつながり、社会的ネットワーク)において世界 140位。人とのつながりの希薄さが、本来の幸せ、豊かさを阻害する要因になっており、この低さは他の先進国に比べて顕著であっ た。また、「世界幸福度調査」では先進国で最低レベルの世界56位(World Happiness Report 2021)。「人生の自由度」「他者 への不寛容」の項目で評価を下げている。
■コンセプト動画
■地球とひとりひとりのウェルビーイング(Well-being)
私たちは長年、「個性が響きあう社会へ」をスローガンに掲げ、表現活動によって自分らしく・たくましい個人を増やし、多様な価値観を認め合う社会の実現に向けてさまざまなダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進の取り組みを進めてきました。
VUCAな時代における社会情勢、社会課題、SDGsなどの地球規模の課題への取り組み、人々のライフスタイルの変化に合わせ、今まで掲げてきた「多様な価値観を認め合う社会」の実現のその先に、「地球とひとりひとりのウェルビーイング(Well-being)」を掲げることにしました。
ひとりひとり違うということを前提に自分らしく、本来感をもってありのままに生きること、そして、人間だけではなく生物や自然環境も含めた「地球」のより良い状態を目指し、そのためにダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進していきます。
※「VUCA」とは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
※「ウェルビーイング」(well-being)とは、心身ともに良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」とも翻訳されます。
■私たちのダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のスタンス
「ダイバーシティ」というと、性別・年齢・人種や国籍・障がい・性的指向などのカテゴリーの違いが多く語られます。自分がその当事者じゃないと、なかなか自分ごとにとらえられないのが正直なところなのではないでしょうか。
自分ごとに捉えるためにはまず、そもそも人は「ひとりひとり違う存在だ」と考えることが大切です。その前提を心に置いてみると、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は「わたしとあなた」の話になってきます。カテゴリーでとらえると同時に、ひとりひとりの違いを大切にしてみましょう。
「わたしとあなた」を起点に、社会に溢れる様々な「違い」を捉えていきましょう。それが「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」な社会ををつくる最初の一歩なのではないでしょうか。
■生み出したいソーシャルインパクト
掲げたビジョンを実現していくために、わたしたちは事業・活動によってソーシャルインパクト(社会的影響力)を生み出していかなければなりません。今回掲げたビジョンはとても大きく、すぐに達成することは難しいものです。ですが、形骸化させるわけにもいきません。「Think Globally, Act Locally. (地球規模で考え、足元から行動しよう)」という言葉があるように、ひとりひとりの意識や行動の変化を積み重ねながら、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の考え方を前提に、チームや組織、コミュニティにおいて「違いを活かし合う」ことができる人を増やし、シチズンシップ(※)を向上しながら、大小問わず市民活動やソーシャルアクションを生み出します。
また、教育機関や行政、企業や団体とも連携していきます。私たちが担えないところは周りの力を借りて、補い合いながら進みます。私たちの得意なことや専門性と、みなさんのそれとを掛け合わせ、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進のハブ(※)になっていきます。そのためにもわたしたち自身が「あらゆる違いのアライ(ally)(※)になる」ために努力し続けることを惜しみません。
将来的には、リーダー育成に着手してダイバーシティ&インクルージョン人材(D&I知識がある、D&I的場づくりができる、社会参画意識がある)の育成に努める他、卒業生が何かアクションを立ち上げる際の応援となる助成金制度や当事者支援団体への寄付の枠組みなども設計していきます。
※「シチズンシップ」は、市民であることや市民としての権利のことを意味します。市民として必要な要素を備え、市民としての役割を果たせるようになることを目指す教育を「シチズンシップ教育」という。
※ハブとは、中心。中核のこと。車輪の中心部にある部品のように、いろいろなものをつなぎ合わせるということを意味する。
※アライとは、「味方」や「仲間」、「同盟」を意味する英単語「ally」が由来。
■事業の3本柱
ソーシャルインパクトを起こしていくために、事業は「普及・啓発」「育成・学育」「調査・研究」の3本柱で運営していきます。
「普及・啓発」事業では、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進のためのイベント(See the differenceなど)開催や情報発信、学校訪問授業などを行います。
「育成・学育」事業では、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)ついて体感的に学ぶプログラム(100人100日ミュージカル®︎/Diversity Journey/バババ場づくりゼミなど)を行います。表現を手段に、多様な人と共に育みあう環境を提供します。そして、さらに学びたい方向けにリーダー育成講座、ソーシャルアクションを起こしたい方向けの応援・支援制度をつくります。
「調査・研究」事業では、プログラムの参加者に向けて、事前事後の変化をはかる調査を行い、幸福度(Well-being)多様性適応力(D&I)・市民参加意識(Citizenship)の観点からコモンビートの活動が参加者に対してどのような変容を生み出し、社会に波及効果を生み出しているのか研究していきます。研究結果をプログラムのデザインに反映させてより良いプログラムを生み出します。
※「学育」とは、「教育」が陥りかねない教える側の視点への偏重を避けて、学びの主体者に焦点を置きなおそうというスローガン的な言葉です。 「学育」の視点は、能動的で主体的な学びのプロセスを中心的なイメージにおいています。
■持ち続けたい姿勢(コモンビートスタイル)
コモンビートの活動において、私たちが持ち続けたい姿勢(スタイル)を7つの言葉にまとめました。コモンビートがこれまでに大切にしてきた想い、そしてこれからも大切にしていきたい想いをこのスタイルに込めました。このスタイルを胸に、ビジョン・ミッションの実現を目指して日々活動していきます。