私達はみな地球にインクルージョンされている!? 「See the difference〜インクルージョンって必要?森が教える多様性〜」開催レポート | NPO法人コモンビート
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私達はみな地球にインクルージョンされている!? 「See the difference〜インクルージョンって必要?森が教える多様性〜」開催レポート

2月2日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第9回が開催されました!

イベントは、ゲストの一般社団法人 森と未来 代表理事 小野なぎささんの自己紹介からスタート!「森が気持ちいいのはなんでだろう?」そんな問いから始まった、小野さんの森と人の関係への探求。国土の7割が森という日本における森林の持つ価値から、都会に暮らす人のウェルビーイング向上と山村地域の森林活用をかけ合わせて行う「森と未来」の様々な事業まで、初めて知る「森」の可能性に、参加者のみなさんも冒頭から興味津々!

森の「可能性」について、多角的に教えていただきました!

インクルージョン(包括)って必要?

モデレーターを交えてのトークは、イベントタイトルにもあるこの刺激的な投げかけから。打ち合わせの際に小野さんがふと漏らしたこの言葉には、こんな背景がありました。「多様性って言葉は最近さらによく聞かれるようになったけど、大抵の場合、“人だけ”で多様性を語ってますよね」「森には、ただ多様性が“あるだけ”で、森の中のあらゆる生き物は、わざわざ他の種を“受け入れてやろう”なんてはしていない。それでも、様々な種が共生しています」「人間ってインクルージョン“しなければ”って考えすぎなんじゃないですか?」そんなこれまでにない問いかけに、「多様性」や「インクルージョン」という言葉に関するもやもやが出てきました。


「インクルージョンという言葉を使うのが
なんだかもやもやしはじめちゃったね…」と苦笑いするモデレーターたち。

参加者からもこんな声があがりました。

ー「インクルージョンする」という考え方も言葉も、海外から輸入されたもの。まずは、カタカナじゃなくて日本語でこの概念を語りたい。
ー「インクルージョン」という言葉には、「してあげる」のような上から目線を感じる。ちょっと偉そう。

森の生き物はただ“生きてるだけで”役にたってる

「これってどうゆう状態だと思いますか?」と、小野さんから1枚の写真が共有されました。

雷に打たれた後、世代交代、など参加者からも声があがりました。

これは「ギャップ更新」という森の更新の様子。森は、完成された状態になっても、台風でそれが一瞬で失われたりする。大木が倒れてもその開いたスペースに光が差してくることで、周りの植物が成長したり新たな芽が生まれたりする。台風は誰かの意図でもないし、その大木は他の種のために倒れたわけでもないけれど、それぞれが生をただ全うすることだけで、互いのためになっている。そんな成長と破壊を繰り返して持続可能を保つ森の姿が、この1枚の写真には収められていました。

そんな森の生き物同士で自然に行われている循環が、人が語る「インクルージョン」の中には含まれていない。助け合いや循環は、“あえて言わないといけないこと”になってしまっている、という指摘に、みなさんさらにもやもや…。

ー人間は、生きてるだけじゃなくて、そこに「有能である」という価値や「生きる」意味を求めちゃいますよね。
ー助け合いや循環は人間社会にも本来あったはずだけど、今はそれが機能しなくなっているからあえて言わないといけないのかも。
ー人間社会には、社会制度などの誰かにとっての恣意的なルールがあるから自然界とは違う方法でアプローチしないといけないのでは?
そんな意見が飛び交いました。

森が教える多様性とは

その後も参加者同士の対話から全体でのディスカッションまで、森を起点に様々な問いやなげかけが飛び交いました。

豊かな森を見たことがある人は、杉だけの森を見てちょっと違和感に思う。でも、そもそも人工林しか見たことない人は、杉だけの森を見ても違和感を覚えないのでは?
・キャンプでは気にならないのに、家に蜘蛛がいたら排除したくなるのはなぜだろう?
・森と山の違いって?
・人間は森からもらってばかりだけど森に返せるものってなんだろう?
・本当の森ってどう子どもたちに伝えればいい?

また、参加者からは「インクルージョンの主語は人間ではなくて地球だと思う。生き物はみな地球にインクルージョンされているんだ」という名言まで飛び出しました!

最後はそれぞれのアクション宣言でイベントは終了

人は、「人間同士の違い」に窮屈になって囚われているだけで、人間以外の多様性に触れることで、より広い視点で「多様性」を見つめ直せるのかもしれません。
わかりやすく答えをくれるわけではない自然のように、今回のイベントは、みんなで様々な問いから生まれたもやもやをじっくりただただ共有する時間となりました。無理やり答えを出したり結論を急ぐことなく、それぞれの暮らしの中でも向き合っていければと思います。
小野さん、参加者のみなさん、森の中のような時間を共にしていただきありがとうございました!

また、春にはオフラインでの森ツアーも企画しています!ぜひみんなでインクルージョンなんて言葉がいらない森の多様性を体感しにいきましょう!

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次回の2/16開催のsee the difference のテーマは、「障がいと障がいの組み合わせによって生み出だされたもの」です。ぜひお楽しみに!

運営スタッフ 花宮香織(はな)