人前で何かを表現するという機会が今までなかったので、
はじめは全く動くことができませんでした。
「ひとつひとつの動きに、こだわりを持ってやるといい」と教えられても、
こだわりってなんだろう?と受け止められない時間が長く続きました。
でもこのままではよくないと思い、
まずは、ひとつのシーンで自分が思う最高の動きをしてみようと思い、実行しました。
それはほんの少しの動きの変化でした。それでも、それを見ていて、評価してくれる人がいました。
自分らしくないからとか、簡単にできないから、といって何も努力しなかったら、
見ている人には何も伝わらない。
今までの自分がしてこなかったような動きをすることは最初、とても勇気がいることでした。
でも、一度やってしまうと意外とそれは簡単な動きへとどんどん変わっていきました。
こんなふうに、出来ない理由をならべず、そ
の時々で必要だと思う動きをどんどん取り入れていくうちに、
それぞれの踊りの中に求められている表現をすることの楽しさに気付くことができました。
公演の3週間前になり、自分の中にある情熱を表現するのに、
今の体力では到底表現しきれないということに気付きました。
まさかこんなにも体力がいるほどの情熱が自分の中にあったなんて、最初には想像もできなかったことです。
その後、日常生活の中に体力作りの時間を作ることで何とか、
自分のすべての情熱を出すことができた本番。
全てが完璧にできたわけではありません。
でも、自信をもって今ある情熱を100%出し切ることができたと言えます。
それは、あの時、勇気を持って一歩踏み出せたから。
それを見ていてくれた人がいたから。
大切なことに気付かせてくれたこのミュージカルを胸に、
さらに新しい一歩を踏み出したいと思います。
33期キャスト 森下葉子(よっこ)