~ 月井涼太朗の “Up with People” 5ヶ月間の旅を通して ~ | NPO法人コモンビート
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~ 月井涼太朗の “Up with People” 5ヶ月間の旅を通して ~

2014年の僕の “夢” だった “Up with People” (以下UWPに省略)。

各国から集まった仲間たちと共に、アメリカ・メキシコ・キューバ・デンマーク・ベルギー・オランダ・ドイツ・スイスの8か国を、私たちのショー“VOICES”のステージパフォーマンスを通して巡り、その他にボランティア活動、ワークショップ、そして18のホストファミリーと出会い5ヶ月間を過ごす旅。

86人の仲間それぞれに特別な意味があったUWP。僕にとってUWPはどういう成長の機会を与えてくれて、そこで僕はどういうことを得たのか、学んだのか。個人的な感想をまとめてみました。

 

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自分の考え方が変わった。“考える”ということ。

“考える”ということ。これは5か月間のツアーで学んだ一番大切なことであり、そして僕が5か月間UWPで様々なことを学ぶための土台となった部分だと思っています。

僕はこれまで日本で生活してきて日常生活でふと感じる小さな素朴な疑問だったり、学校で勉強することだったり、それらがなぜそうなるのかという“WHY?”という根本的な理由を考えたことはほとんどありませんでした。つまり情報、事実をそのまま鵜呑みにしてきたということです。とりあえず何も考えずに頭に突っ込むんです。受験勉強だって全部“覚え”ました。問題を解決するのではなく、出題された問題の形を見て「その形に対する解答を出すにはこれだった気がする」と、後はそれに必要なモノを頭の中から取り出してくるだけです。今数学の例を頭にイメージして文章を書いていますが、そのため数学の場合、証明問題とか解答のプロセスを細かく書く問題が出たらその時点でゲームオーバーでした。

また小さい頃に母から「本を読め」とよく言われていたのですが、本を読む理由が分からなかったので読んだことなんてほとんどありません。本を読んだらどうなるの、なんで読んだ方がいいの、その「なんで?」を自分の頭の中で少しでも考えてそれに取り組んでいたらきっと“発見・気づき”があったのかもしれません。

そういうこともあって僕は“考える”癖が全くありませんでした。

その癖を変えるきっかけは一緒に旅をしていた日本人キャスト“Tomo”のアドバイスでした。ツアーの初めの頃突然の大きな環境の変化、新たなチャレンジに気合が入る自分、立ちはだかる大きな壁のせいで僕の感情の変動はとても激しいものでした。すぐ凹んだり、何も見えなくなったり…。そんな時彼が私にアドバイスをくれたのです。

「そういう時はその感情がなぜ起こるのか、その根本的な部分を考えてみたら?」

これをじっくり頭の中で考えることによって自分の性格の傾向というか、その感情が起こる原因というものが明確になってきます。そしたらトラブルシューティングのようなもの、こうしたらもっと楽になるんじゃないかな?というものが出てきて、あとはそれを実行に移してやってみるだけ。そして実際やりました。何回も何回も。僕は昔から強烈なネガティブ思考だったこともあってこの発見には驚きました。実際本当に楽になってきたんです。ちょっとネガティブじゃなくなったかも…?っていう発見です。(笑)

それからです、“考える”ことが楽しいって思うようになってきたのは。自分が不思議に思ったことは1個1個自分なりの考えで落とし込んでいく。それが今の自分に必要なことだと自然と感じたことです。その“考える”というところから、それがいろんなところに広がってUWPの中でたくさんの疑問と発見が出てきました。

そういうこともあって、UWPで学んだことを話してと言われたらこの“考える”ことが1番先に話そうとするキーワードのような気がします。みなさんはそこにUWPの特別感とか海外の特別感とか全く感じないと思いますけど(笑)でも僕にはそれがすごく大きな発見だったんです。

 

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他人をジャッジしてはならない。

15か国から集まった86人が今回のセメスター(2014年の7月~12月)の参加者でした。本当にいろんな人に会いました。30ヵ国以上行ったことがある人、人種差別を受けてきた人、祖父母、父母それぞれの出身国が違う人、海外の家庭に養子として引き取られた人、同性愛の人。その86人全員が違った個性を持っていて、バックグランドも全然違います。来た時からそのことをなんとなく意識はしていたのですが、5か月間という長い期間彼らと一緒にいて話をしていって、そしていろんな発見がありました。

日本で常識外れなことが彼らの常識であったり、自国に対する考え方が違かったり。(みんなの愛国心の強さには本当にびっくりしました。日本でこんな感じだったら逆に変なやつって思われるのかも…。)

でも5ヶ月間っていう時間の長さによって、「インターナショナル感」は徐々に感覚的に薄れてきます。その中でたまに相手が自分とは違う国出身ということを忘れて同じ人間同士として相手を判断してしまうようなことがありました。言ったらそれは普通のことなんですけど。相手に自分の常識を被せて考えてしまうのです。普通ならこうするでしょ!とかその方法・やり方は違う!とか。でもそれは違うなって今思います。

自分の常識の範囲内で他人をジャッジするべきではないです。もしそれが外国人の場合は特に、僕は1つフィルターをかけて考えるべきだと思います。

それはひいきと差別とか全くそういうことではなくて、相手のことをよく考えるための距離感のようなものです。また同時に“相手への尊重”であると私は考えます。もちろん全世界共通のYes、Noはっきりした場合のテーマであった場合話は別です。でもそれ以外の場合、私とあなたは全く違うという前提で物事を考えなければ相手を否定することだと思います。

この5か月間、「あれ、なんかいつもと違う…」ということや、「これは日本ではありえない…」ということがほぼ毎日起こりました。その度にフィルターに通して相手を尊重する気持ちを持つ。なんせ僕たちの文化・常識は違っていてそれがその人たちの文化かもしれないし、常識である可能性もあるからです。

しかし一方で意見を主張することも必要です。相手を認め、そして自分のことを知ってもらう、認めてもらうためです。

私たち日本人キャストは「絶対にここは違う!」という場面では常に私たちの考えを主張するようにしました。それは上述したように“日本人としての誇り”であり、彼らに私たちの文化も尊重してほしいという訴えでした。

毎日行動を共にしていた私たちはもはや“家族”のような存在ですが、そこには必ず相手を尊重する姿勢が必要だと思いました。そういう姿勢を持つことで他人の良さが見えてきていい関係が築けるのではないでしょうか。それは日本でも同じで、同じ文化・歴史を持った人へ対しても自分勝手なジャッジを相手に押し付けることのないように気をつけていこうと思います。

 

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1日1日、生きる。健康管理。

UWPのツアー中、毎週ホストファミリーデイという自由時間が1日設けられています。その日はホストファミリーと時間を過ごし、レストランに行ったり、有名な観光地に連れて行ってもらったり。(自由時間という感じでもないですね(笑))この時間がホストファミリーとお互いの文化を共有する魅力的な時間です。

それ以外は基本的に月~土曜の間、朝から晩までプログラムがびっしり詰まったスケジュールが組まれています。それはステージの練習であったり、他国文化・政治などあらゆるテーマを扱ったりするeducationプログラムだったり、ボランティア活動に出たり、など様々です。そして体力的にハードです。

ショーの日などは片付けを含め真夜中の1時過ぎまで活動してそれから帰宅。その次の日朝6時から次の国にバスで移動(8時間~12時間)、といったスケジュールの日さえあります。

こういったハードな日々、さらに慣れない他国の環境で体調管理を行うのは非常に大変でした。そのため10人以上が一度に休む日もあって、全員が揃う日なんていうのはほとんどありませんでした。

ここで勿体ないと思うのは、休むことによって多くの貴重な機会を逃すことです。1日休むだけで10時間近いプログラムに参加出来ないことになるのです。

毎日ボランティアやショーを通して多くの人々に出逢う日々、そしてここでしか学ぶ事の出来ないワークショップ。1日1日色が違って、そして濃い!そんな毎日を健康な体で強く生きることで、自分に大切な発見、気づき、自分の成長に繋がるようなタイミングを逃さず掴めるのです。だからこそ私は多くのことを学べたと思います。

それはこのツアーに限ったことではありません。日本に帰国した後も、自分のリズムを保ち毎日力強く生きていけるように体調管理をしっかりしていこうと思います。それが自分の成長にきっと繋がります。1日1日、1分1秒がかけがえのない時間で、もうそれは二度と戻ってきません。

 

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続けること。やり抜くこと。

アメリカのコロラド州デンバーから始まり、8か国18週を周ったこのツアー。最初の時点で僕が掲げた、5ヶ月間やり抜くと決めた小さな目標は2つありました。

大きな目標「自分を変えたい。」とか曖昧な目標「積極的に英会話。逃げないで挑戦。」とかそういうのは他にいっぱいあったのですが、それらは結果次第というか、その時の調子次第で大きく揺らいで、いつの間にか消えたりしました。(少し余裕が出てきてしまって目標の存在が薄くなるとかそんな感じです。)

最初に述べた2つの目標は、①日記を毎日欠かさず書き続ける。②すべてのショーを100%でやり遂げる。 この2つです。②の目標も言葉的に曖昧な感じですが、この2つの目標は意識して半年間で実行し続けました。

その結果として、①の毎日の感情や出来事を綴った日記は所々で自分のタイミングで自分自身を見直すことの出来る良い判断材料になりました。時間の流れに沿った感情の隆起は特に、違った観点から自分を見つめ、その時何がそうさせたのか、自分はどのような考えを持っていたのか、最初に述べた“考える”ことに繋がってきました。

そして②のすべてのショーを100%でやり遂げる。この目標を立てたきっかけは、ツアー初めにEnglish Communicationの壁にぶち当たったことから始まります。でもこれは出国前から予想していたことなので、常に誰かと会話をすることで積極的に語学力向上を目指そう、とその時前向きに考えられたのですが、私にかなりデカいダメージを与えてきたのが「英語を話せないことによって自分のパーソナリティーを伝えることが出来ない。」と気づいたことです。これは深刻でした。日本で生活していた僕ってこんな感じだっけ?あれ、なんか違うな~?自分が自分でいられていないということにショックを受けました。

ここで初めて言葉の力ってかなりデカいことを知ったんです。言葉によって人の考え、感情が相手に伝達され、そして人の性格・パーソナリティーまでも無意識に相手に伝わるんですね。伝わるというか、むしろ言葉自体がその人のパーソナリティーの一部なのだと思います。その領域まで私の英語は追いついていなかったので言葉で自分を表現できなかったんです。

そこから考えました。“本当”の自分を表現する方法は何なのかと。その結果出てきたのが「パフォーマンス」です。体で表現することです。パフォーマンスなら自分を出せると思いました。顔とか体の動きとかシンプルな音(声の強弱、リズムなど)を使って表現するのに言葉はいらない。パフォーマンスをしている間自分は自分でいられる。そういう考えから作った目標は②です。

僕にとって、パフォーマンスをすることは英語を話すことに比べてかなり簡単です。というより楽です。なぜなら元々パフォーマンス・表現をすることが好きだったから。

でもこれを目標に掲げる意義があったのです。それは5ヶ月間本当の自分をステージで見せ続けるということ。ショーで自分らしく輝き続けること。

その結果多くの仲間やその家族の方に「最高のパフォーマー」という言葉を頂いたり、ショーに来てくれた方に声をかけて頂いたり、ショー見た方々から“自分”が伝わったなと感じることの出来る言葉をたくさん頂きました。それがない時でも「これが月井涼太朗だ」と自信を持ってやり続けました。ありのままの自分でいられる方法・時間を見つけたことで上手く気持ちを高め、他のこと(英語やワークショップ、ボランティアなど)にも前向きな姿勢でいることが出来たと思います。

この2つの目標を常に続け、やり抜いたことで今の自分があります。やり抜くことでその努力が達成感と自信になって帰ってきます。目標に具体的な期間がある場合とない場合がありますが、常にその目標を達成するために努力を続け、最後の最後までやり抜くという姿勢はこれからも忘れないようにしたいです。

 

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日本が大好き。

生まれてから今年の7月まで20年間、今まで海外に出たことはありませんでした。そんな僕が8ヵ国をツアーで周り、その後友達と他2か国に行ってきました。美しい自然や歴史、美味しい食べ物・飲み物、素敵な人々、様々なものと出会いそれらに触れた5ヶ月間が終わって自分はこう思います。

「日本ってやっぱり世界一最高の国やな~」

自分は5か月間でかなりの人々に“Japan”を紹介してきました。かなりです。

UWPの仲間たち、8か国18のホストファミリー、その他僕が出会った人。海外を出てから今まで自覚することのなかった“Japanese・日本人”としての生活が始まったんです。それから日本についていろいろ考えました。文化、政治、自然、歴史、アニメ、漫画。そして彼らから多くの質問を受け、日本について語りました。

「日本人の目はなんで細いのに、漫画の目ってあんなに大きいの?」

応えられない質問もよくありました。でもそれ以上に“日本人”としての自覚が高まり、今まで興味すらなかった日本について勉強するようにもなりました。そしてそれを繰り返すうちに日本が大好きになりました。それと同時に自分が好奇心旺盛になったと感じています。

「日本のテクノロジーと漫画はすごいけど他になんかある?」

「待て待て、○○もあるぞ、■■もあるぞ!世界一美しい国だぜ、遊び来いよ!」

これから私は日本人として日本への興味・関心を高め、美しいこの国の文化について積極的に勉強していこうと思います。(最近選挙があったこともあり、若者の選挙離れ問題とすごく近いものを感じました。)

  

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リラックス。そして挑戦。

リラックスってとても簡単なことです。一度休んだり、気を張らず楽な気持ちにすることだったり。場合によってその時のリラックスは異なりますが、UWPで大事だった私にとってのリラックスは「気合を入れすぎないこと。求めすぎないこと。」です。「余裕を持つこと。」という言葉も合うと思います。

UWPに挑戦することは2014の私の夢だったので、ツアーが始まる前めちゃくちゃ気合が入っていて、「英語頑張るぞ。常に会話しよ。時間を有効に使ってあれをやろう、これもやろう。」とかなり力んでいました。あの時は感情が高ぶりすぎて、自分が考えていることしか見えていませんでした。そのため自分が予期してなかったことが起こるとブラックアウト。何も見えなくなりました。

いつもメキシコ人の友達が言ってくれたんです。

「リラッ~クス、リラックス。」

いつも聞くような当たり前の言葉かもしれませんが、その時の僕にとっては非常に助かる言葉でした。それからというもの自分の頭の中で言葉を唱えたり、たまに声に出したり…

何かを求めすぎる結果、私の場合何も見えなくなって何も手に付かなくなります。そんな時の「リラックス」。一回一回仕切り直して、常に余裕を持って生きる。そして前に進む。今の私には大事な“おまじない”のようなものです。

 

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これを1つのステップとして

この5か月間で本当にたくさんのことを学ばせて頂きました。海外というスペシャルな環境が僕に与えてくれたもの、そしてその環境の中で自分自身が考えて、行動に移して手に入れたもの。間違いなくそれは私の財産であると思います。そんな5か月間に飛び出すきっかけを与えてくれたコモンビート、MRAハウスの皆様、家族、友達、大切な人達への感謝の気持ちでいっぱいです。

その一方で、このUWPは“2014年の夢”という自分の中での短期的な1つのステップにすぎません。しかしこの経験は1つとして数えるべきなのか分からない程、僕が生きてきた21年間の人生の中で間違いなく最も価値のある1ステップであったことも間違いありません。

僕が死ぬまで、最期の最期までステップは続いていってそれは永遠に終わらない。どんどん前に進んでいくチャレンジ精神を持ち続けて最後までやり抜きたい。そんな気持ちがあって僕はすぐに新しい一歩を踏み出します。

今見える景色は5ヶ月前と大分違って、感じる事も考える事も全部違う。そんな新しい自分がこの先もっともっと成長できるように気を抜かず力強く生きていきます。

 

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◎最後に

5ヶ月間を終えて自分にとってのUWPを整理したら書きたいことがたくさん出てき過ぎて、いつもと雰囲気の異なるブログになってしまいました。もし、何か違うな~というところがあっても笑って見過ごしてやってください(笑)でも上述したことは今の私にとっては大きいことであり、“私にとっての”5ヶ月間のUWPです。(もちろん伝えたいことはまだまだあるのですが…)

 

この5ヶ月間応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。コモンビート、MRAハウスの皆様、家族、友達、私の大切な人達、ご協力頂いた皆さんに心からお礼申しあげます。

 

 

日々勉強。日々成長。

これからカッコいい大人に成長出来るようもっともっと頑張っていきます。

ありがとうございました!

 

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Up with People CastB 2014 つっきー(月井涼太朗)