そもそものきっかけは、友人の公演を観たことだ。
彼女とはかれこれ10年の付き合いになるが、私があんなに輝いている、具体的に言えば殻を破っている彼女を見たのは初めてだった。
もともと歌うことが好きだったし、ダンスもやってみたかった。
何より、あんなに自信をもって輝けるのなら、ぜひ自分も挑戦してみたい。
しかし、参加するまでには色々な葛藤があった。私は中学校に勤務しているのだが、コモンビートの練習は土日。
部活動がある。
試合だってある。
始めるには、相当な覚悟が要った。
しかし、それよりも何よりも、変わりたい自分がいた。自信がなく生きてきた27年間を払拭したかった。
体験会に参加した日の夜、家に帰ってすぐに申し込みをした。
練習が始まって、週末に花が咲いた。今までの週末は何だったのかと思うほどに楽しかった。
仲間と会うたびにウキウキしたし、新しいことを覚えるたびにワクワクした。社会人になってから、忘れていたような感情だった。
どんな時でも 心に笑顔咲かせたい
これは、私がオーディションで歌った、superflyの愛と感謝という曲の出だしだ。歌詞のとおり、その頃の私はいつも心に満開の花が咲いていた。
しかし、そうは上手くいかない。
一つ目の壁はダンス。
なかなか覚えられない。
かっこよく踊れない。
一人で踊るわけじゃないから、みんなにも迷惑をかける。そう思ってひたすらコソ練した。
二つ目の壁は、意外なことに歌だった。私はこのミュージカルの最後に歌う、願いをのせてという歌をソロで歌わせてもらえることになった。
正直、上手く歌うことは難しくなかったのだが、何度歌っても伝わらない。歌詞の意味や、自分の思いが、歌を通じて相手に届かない。
自信のあった歌がうまくいかない。
それは今までの自分を全て否定されたような気がして、大きな絶望感に包まれた。
もうダメだ。
そう思った時に、たくさんの仲間が
待ってるよ。
って声をかけてくれた。
頑張れとか、大丈夫とかじゃなくて、
待ってるよ。
その時の私に一番響いた言葉だった。
再び練習に戻った時、本当にたくさんの仲間が私を待ってくれていた。嬉しすぎて言葉に出来ず、涙も出なかった。こんな感情は、コモンビートに関わることがなければ抱けなかった。
公演本番。
満員の舞台を前に、思いきり自分を出しきることができた。
その時の自分は、まぎれもなく、100日前の自分とは違った。人は変われる。そう実感した。
自信は今でもあまりない。
でも、少しは胸をはって歩けるようになったように思う。自分を偽らずに、他人と関われるようになったと思う。
少しは、自分を信じることができるようになったのかな。
ありがとう、みんな。
ありがとう、100日間。
ありがとう、がんばった自分。