「世のお母さんってすごい!」栗原 敬衣 | NPO法人コモンビート
企業・自治体の方 学校関係者の方 お問い合わせ

「世のお母さんってすごい!」栗原 敬衣

「世のお母さんってすごい!」栗原 敬衣

『敬衣ちゃんみたいなママになりたい!』

2011年4月18日、栗原敬衣(のりい)さんは一児の母となった。それから一年が経ち、息子の鼓太郎(こたろう)くんは、元気にすくすくと成長している。
彼女はこの一年を振り返りながら、ゆっくりと語り始めた。


「鼓太郎が生まれてから今まで、あっという間だった。生まれた直後は何もかもが初めての経験だったから、どうしていいか分からず、戸惑う事が多く時間だけがどんどん過ぎていった。今はだいぶ慣れてきたけど、鼓太郎が1人で動けるようになってきて目が離せないので、自分の時間はほとんど持てない。ずっと自分の母の事は尊敬していたけど、鼓太郎が生まれて自分も母親になって、その大変さと責任の重さを実感した。改めて…世のお母さんってすごいと思う!」
子育ては365日休みがない。子育て真っ只中の彼女は、大変さを語りながらも、その表情は実に穏やかで明るい。
ストレスを感じる事はないのだろうか。
「イライラはすごくする。鼓太郎に当たる訳にはいかないので、夫に悪いと思いながらも、八つ当たりをしてしまう事が多々ある」
夫が、彼女のイライラを受け流す担当のようだ。
その他に、鼓太郎くんのお風呂入れや料理も夫の担当だとか。
「私は、他のママより楽してる!」
と笑う彼女から、夫への感謝の気持ちが伝わってきた。
それでもやはり、夫が仕事に行っている間、日中こどもと2人きりで家にいると煮詰まってしまうという。
「2人きりでいると、鼓太郎もぐずる事が多いので、鼓太郎と一緒に、なるべく外に出掛けるようにしている。
色々な地域の子育て会に参加したり、サックス奏者である夫のライブに連れていったり、コモンビートのイベントにも参加したり。夫が一緒の時は、遠出もけっこうしている。
自分が行きたくて、鼓太郎を連れて行けそうな所には、どんどん出掛けている」
「こどもを連れて色々な所に出掛けている私を見て、友達が『敬衣ちゃんみたいなママになりたい!』って言ってくれてすごく嬉しかった。これからも夫と鼓太郎と一緒に、色々な所へ行きたい!」
一見、控えめで落ち着いた印象を受ける彼女だが、その印象から想像できないほど、もともとアクティブで好奇心旺盛な性格。
昔から、行きたいと思った所は迷わず出掛けていく。
母になった現在でも、その精神は健在だ。
「世のお母さんってすごい!」栗原 敬衣

「成長が楽しみ」

彼女は一年間の育児休暇を終え、4月20日からIT企業に職場復帰する。
「仕事に復帰する決心をしたのは、経済的な理由もあるけど、私は働いていないとダメになる気がする。
専業主婦に向いている人もいるけど、もともと家にずっといるのが好きではないので、私には多分向いていない」
彼女が彼女らしくあるために、仕事と子育てを両立する道を選んだ。
「一年間、社会から離れていたし、子育てだけでも大変なのに仕事もやっていけるか不安。
私は、自社製品のカタログやホームページ制作を主に担当している。
育児休暇前に昇進して、主任という責任のあるポジションでの職場復帰なので、プレッシャーも大きい」
現在の不安な気持ちを取り繕う事なく、素直にとても自然体に語る彼女。
そんな母より一足先に、息子の鼓太郎くんは新しい環境へチャレンジしている。彼女が仕事をしている間、鼓太郎くんは、保育園で過ごす事になる。
今はその準備期間だ。
「鼓太郎を初めて保育園に預けた日、遊んでいる間に私はそっと抜けてきた。1人で家に帰ると、鼓太郎と今まで離れた事がなかったから、じわじわと寂しくなった。
そして夕方迎えに行った時…鼓太郎は私に気付くと、一瞬驚いた顔をして、その後私の所にすごい勢いでダーッて寄ってきて、とても嬉しそうにニッコリ笑った。
それを見た時、この子なりに1日必死に頑張ってたんだろうなーって思ったら、涙が込み上げてきた」
鼓太郎くんの頑張りを受け、彼女も新生活への心の準備は整った。
「実際に始まってみないとどうなるか分からないけど、勤務時間は優遇してくれているし、上司も何かと気に掛けてくれている。
鼓太郎も頑張っているから、私も頑張っていきたい!」
最後に彼女はこう話す。
「最初は、何もできなかった子が、今はつかまり立ちができるようになった。
できない事ができるようになった時は、嬉しいし楽しい。
いずれこの子が、歩けるようになり、話ができるようになるなんて…。まだ信じられないけど、成長が楽しみ」
彼女が鼓太郎くんを見守る眼差しから、限りなく深くて優しい母の強さを感じた。
そして母になっても、彼女のその行動力はとどまる事を知らない。
母のDNAを受け継ぎ、鼓太郎くんも好奇心旺盛で元気な子に育つだろう。
子育てと仕事の両立。母として社会に生きる1人の女性として、彼女の新たな挑戦が今、始まる。

栗原敬衣さん

栗原 敬衣(くりはら のりい)

姉に誘われ、ミュージカル『A COMMON BEAT』の体験会に参加したのがきっかけで、5期プログラムにキャストとして参加。その後も6期にキャスト、8期はスタッフとして参加。
コモンビート事務局スタッフや会報誌編集部でも活躍した。
2011年に男子出産。
IT企業入社14年目。
育児休暇中だったが、この春から職場復帰する。