9月21日(水)、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をテーマに、違いを知り、違いと出会い、違いとつながっていくための「See the difference」の第21回が開催されました!今回のゲストは、大学生ながら被爆3世として学校で平和教育の授業を提供している山西咲和さん。現在マレーシアの大学で国際学とコミュニケーションを学んでいます。当日は大学の図書館から登場!と、少しキャンパスライフを感じさせながら、多様な民族が生活をするマレーシアでの暮らしを大学生らしい視点で話をしてくれました。
左上がゲストの山西さん
なぜ平和へ想いを持つようになったのか
長崎で高校生平和大使として活動し、現在も平和教育の授業を提供している山西さんの活動の原点は、長崎で被爆されたお祖母さんのご経験です。いつも笑顔が素敵なお祖母さんが8月9日になると顔をゆがめてしまう。原爆が何か知らなかった幼いころから、お祖母さんの心に傷を負わせたものとして理解をしていたそうです。「戦争なんかするもんじゃない。そういう時代をつくったらつまらんよね」そのお祖母さんの言葉を胸に、過去の悲しみを繰り返さないよう後世へ伝えていく活動を始められました。「咲和」という名前のように、「平和の花を咲かせたい」と、マレーシアへの進学を決め、国際学を勉強されています。
マレーシアで過ごす大学生活
「多民族国家」として知られるマレーシアは、マレー系・インド系・中華系と様々な民族の人たちが生活をしており、公用語も4つ(マレー語・英語・中国語・タミル語)、宗教もイスラム教・仏教・キリスト教・ヒンドゥー教と様々です。
そんな多様性があふれる社会で学生生活を過ごす山西さんの視点から、「平和に共存するための5Tips」と題した、ご自身の体験に基づいた分析をお聞きしました。
(「違い」が当然すぎて何が特徴なのか分からない…と悩みながらの考察だったそうです)
異文化と触れる時によく耳にする「相手への尊敬」という言葉。異文化に関係なく当たり前では?と思うかもしれないですが、皆さんは「相手への尊敬」をどのように表現、行動していますか?
山西さんのお話の中で興味深いエピソードがありました。マレーシアでは食器を持って食事をすることが失礼に当たるそうなのですが、友人と一緒に食事をしているときに、そのことを知らずに茶碗を手で持って食事をしていたそうです。友人からマレーシアでのマナーを聞いた後、マレーシアと日本での食事のマナーの違いについて話し、直そうとすると「あなたの文化はあなたを構成する一部だから、なおさなくてもいいと思う。今、話して誤解が解けたんだからいいんじゃない」と言われたそうです。異文化の中でこそ自分の文化、ひいては自分を大切にすることをお話してくださいました。留学を経験された方の中には、訪れた場所の文化に適合すべく無理をしたり、自分を見失って苦しい思いをした経験がある人もいるかもしれません。「郷に入っては郷に従え」と、全てを相手にあわせたりすることが尊敬ではなく、相手も自分も大切にすることが尊敬につながるのかもしれません。
ワーク:「平和に生きる」3つのこと
マレーシアに限らず、私たちは社会の中で様々なバックグラウンドを持つ人たちと生活をしています。そんな社会や周りの人たちと「平和に生きる」ためには何が大事だと思うかを考えるミニワークを参加者みんなで実施しました。「多民族国家・マレーシア」という異国の話を聞きながらも、自分に置き換えてみると、親子関係や職場の人たちと身近な社会でのエピソードがたくさん出てきました。「笑顔」「傾聴」など、自分の経験から周りと良好な関係を築くために大事にしていることが出てきました。中でも多くの人から出てきた「尊敬」という言葉に議論が盛り上がり、あなたにとって「尊敬」とは?それを実際どのように表現、行動するのか?という問いにそれぞれの答えがでてきました。「意見に納得できる、できないに関わらず、話を遮らずに最後まで聞く」「自分の知らないことは、新しい可能性だと思って話を聞く」「あまりにも違って、自分に合わない場合は距離をとることも必要」など、行動のイメージが沸くような言葉も出てきました。
山西さんには、専門家としての立場ではありませんがご自分の学生生活に基づいたエピソードを中心にお話し頂き、日常の小さなエピソードから大きな気付きや学びに繋げていらっしゃると感じました。日常生活を送る中でこぼれていってしまう大切なことを参加者同士で対話ができた貴重な場となりました。
次回の12/6(火)開催のSee the Differenceのテーマは、「障がい者とまざって働くっておもしろい」です。ぜひお楽しみに!
国際交流チーム
三矢楓(もっぴー)