数学では、「点と点を繋いだ直線が最短」と教えられます。
でも、私たちの人生は、いつもそんな最短があるわけではありません。
直線だからといって、すべてが効率的で早いかというと、そうでもないことがたくさんあります。
車のナビはどうでしょう。
直線のルートが早いことがわかっていますが、そこには川や山があるので、回り道を案内してくれます。
仮に、山道が一番の近道だったとしても、そこは舗装されていなかったり、道が細かったり、くねっていたり、アップダウンが激しかったりするかもしれません。
推奨が遠回りであっても、直線でスピードが出せて安全な道ということもあります。
また、人気な道は、渋滞で進まず、かえって到着が遅くなるかもしれません。
帆船はもっと複雑です。
海上には道がありません。舗装もされていませんし、波もあります。
そして一番重要なのは、風の力です。
「一番近いルートは?」
その問いに船頭は、
「風にうまく乗ったとき」
と答えるでしょう。
風は見えません。
強さや向きが常に変わります。
その風の力を自分の力に変え、自由自在に操っていくことができれば、大海原を最短ルートで制覇することができるでしょう。
ゴールを決めると、早くそこに着きたいという気持ちが逸ります。
でも、ゴールに向けて猪突猛進することが最短でもなければ、決して最良というわけでもありません。
最短ルートがいつも正解とは限りません。
社会では様々な風が吹いています。
経済、風土、人間関係、勘・・・
逆風もあれば追い風もあります。
風は止まったり強風にもなります。
私たちにとっていい人生は、帆船のように、いい風にのって進む人生なのかもしれません。
どこから来て、どこに向いて吹いているのでしょうか。
どの風が自分にとっていい風なのでしょうか。
常に風は吹いています。
たくさん吹く風の中からも、楽しく気持ちの良い風にのっていきたいですね。