「私は私で十分価値のある素敵な人」岩下美紀【人生アンサンブルvol.19】 | NPO法人コモンビート

「私は私で十分価値のある素敵な人」岩下美紀【人生アンサンブルvol.19】

人生アンサンブル「私は私で十分価値のある素敵な人」-岩下美紀

“自分らしく、たくましい個人を増やし、互いの多様な価値観を認め合える社会の実現を目指す” NPO法人コモンビート(以下、コモンビート)は、さまざまな年齢や職業の社会人・学生100人が集まり、お互いの個性を響き合わせて創り上げる「100人100日ミュージカル®プログラム」を全国各地で開催しています。

プログラム参加者の生の声をお届けする『人生アンサンブル』第19回は、第64期東京公演に参加した「岩下美紀(てぃーぬ)」にインタビューを行いました。このプログラムを通じててぃーぬはどのような経験をし、どんな学びを得て、その後の人生にどんな変化や影響があったのか。『人生アンサンブル』、スタートです。


2児の母、9年越しの挑戦

10年前、友人が出演していたことをきっかけに、コモンビートの存在を知ったてぃーぬ。「すぐに参加したい!」と心が動き、ミュージカルの体験会に参加しましたが、日々の忙しさに追われてキャスト参加は断念しました。

いつかやりたい!」という気持ちを抱えたまま、9年の月日が流れーー。

そして、2025年。2児の母になったてぃーぬに、再びコモンビートへのお誘いがありました。

ただこの時も、できない理由がたくさんありました。
「育休復帰と同じタイミングで、体力的に持つかどうかがまず、不安な状態だったんです。仕事だけでも毎日通うのが大変で、家事育児との両立でいっぱいいっぱい、さらに土日は全然知らない人にまじってミュージカルの練習なんてーー。本当に無理があると思いました。周りからも、この挑戦を話すと『忙しすぎる、倒れないでね』と言われていました。」

「できない理由がたくさんあって、参加する道が見えない。」
てぃーぬは、最初から無理だと諦めていました。

ただ、9年前の自分を振り返ったときに、「どんな状況にいても “できない理由” って必ずあるんじゃないか。」
そう思ったてぃーぬは、「いつかやりたい」と願ったあの頃の自分に応えるために、「出来ない理由を無視して挑戦しよう」と心に決めたのです。9年越しの挑戦がはじまりました。

自分のことを認めてあげられなかった

若い時は意欲もあり、どんなことにも「やってみたい、負けるもんか、成長してやる!」と踏ん張っていたてぃーぬ。しかし挫折を経験する中で、自信がなくなり、いつも自分を責めてばかりいました。

「自分の好きなことや、やりたいことなんて子どもがいたら出来ないし親ってそういうもの。」

ライフステージが変わっていく中で、いつしか好きなことややりたいことを諦めるのも普通に。

いつの間にか、「他人と比べてばかりで自分自身を認められないこと」が、てぃーぬのコンプレックスになり、何かに挑戦したり、現状を変えたりしようとするリスクを前に完全に臆病になっていました。

「黙っている方が楽だ。」

「自分が我慢すれば、荒波も立たないし、表面上は平和でいられる。」

そう思って、誰かに気持ちや考えを伝えることや変化を求めることを避けてきました。

そんなてぃーぬは、コモンビートで、多様な仲間たちと100日間をともに過ごす中で、少しずつ「勇気」や「楽しさ」を取り戻していったと言います。

仲間たちの想いや経験に触れる機会が何度もあり、気づいたことがありました。それは、「思っていた以上に、みんなも自信を持てず、過去の経験やコンプレックスに悩みもがいていたんだ」ということでした。

「人生に苦しんでいるのは自分だけではなかった。みんなそれぞれ苦しみと向き合いながら、乗り越えようと挑戦し、自分自身や周りの人とちゃんと向き合おうとしていたんだ」と。

そして「悲しみや苦しみを抱えているからこそ、人はしなやかで強く、豊かな人間性を育まれているのかもしれない」そう思えたのです。

コモンビートで出会った仲間たちの存在が、てぃーぬの心を大きく動かすきっかけとなりました。

自分も覚悟を決めて背中を押しているんだから、覚悟を決めて頼ってくれていいよ」

プログラム中、勇気を出して前に立ち、自分の想いを仲間たちに伝えたことがありました。この経験が、自分自身をさらに認めてあげるきっかけになったそうです。

「勇気を出して行動を起こすことで、伝わる人が居る。心が動く人が居る。行動が変わる人が居る」

ミュージカルに初めて参加する自分でも、仲間たちに声を届けられることがうれしかった。何もしなければ何も起こらない、でも行動することで何かは起こる。

いつの間にか、「自分のことが好き」だと感じるようにもなっていました。

仕事や家庭との両立はとても大変で、いっぱいいっぱいになることもありましたが、家族にも思い切って自分の状況や想いを伝えることで、逆に背中を押してもらうことができました。

「自分も覚悟を決めて背中を押しているんだから、覚悟を決めて頼ってくれていいよ」

そんな旦那さんの言葉で、自分自身が逆に覚悟を持つこともできました。

だれかに気持ちや考えを伝えること、変化することを避けていたてぃーぬは、コモンビートの仲間たちとの出会いや挑戦を通して、自分のことを認め、誇らしく思えるようになりました。

そして、本当の自分は勇気があり、自分を信じて行動を起こすことが出来る人間なんだと、そっと抱きしめてあげることもできました。

「私は私で、十分価値のある素敵な人なのかもしれません。」

『一人ひとりの小さな変化が、よりよい社会を創る。』

あなたも一緒に、ステージに立ってみませんか。ぜひ劇場にも足をお運びください。お待ちしています。