個性が響きあう社会の実現を目指す NPO法人コモンビート(以下、コモンビート)は、さまざまな年齢や職業の社会人・学生100人が集まり、お互いの個性を響きあわせて創り上げる「100人100日ミュージカル®プログラム」を全国各地で開催しています。
プログラム参加者の生の声をお届けする『人生アンサンブル』第21回は、第65期名古屋公演に参加している「細田義人(ほっしゃん)」にインタビューを行いました。このプログラムを通じてほっしゃんはどのような経験をし、どんな学びを得て、その後の人生にどんな変化や影響があったのか。『人生アンサンブル』、スタートです。
泣かない自分が泣いていた
サラリーマンになって17年。単身赴任で仕事や飲み会、休日には一人でゴロゴロと過ごす毎日を送っていたほっしゃん。何か、人生のスパイスになるようなことに挑戦したいと思いながらも、「これだ!」というものを見つけられずにいました。
そんな時、行きつけだったスナックのママから「ミュージカルに出るから観に来て!」とお誘いをもらい、コモンビートの存在を知りました。
最初は、ママの活躍姿を観にいってみようという気持ちで行きましたが、公演が始まると、普段は泣かない自分が泣いてしまうほど作品に引き込まれていたのです。これをきっかけに、「次は一緒に出よう!」というお誘いも受け、100人100日ミュージカル®プログラムへ参加することにしました。
人との関わりを通して変化する価値観
プログラムに参加し、幅広い年齢層や個性の多さに驚いたそうです。
「これまでは、会社関係の人しか知りませんでしたが、内向的な方もいれば、社交的な方もいたり、見た目では分からないハンデキャップを抱えている方がいたり…まるで社会がぎゅっとしているようでした。」
様々な人がいることを知り、自分の目で見えている世界は、まだまだ狭いのだと痛感したそうです。
それから、職場や日々の満足度にも変化があったそうです。何気なく過ごしていたこれまでとは違い、身体を動かしたり、仲間たちと会話をして過ごす休日は、とても充実感がありました。ミュージカルに出演することを伝えた会社の上司とは、プライベートの話をするようになり、職場の雰囲気がよくなったとも感じたそうです。
プログラムの中では、「キラメキスパークルタイム」という、自分自身についての話や挑戦していることなどを発表する場がありました。仲間が勇気をもって前に立つ姿を見たり、話を聞いたりしていく中で、たくさんの気付きや心の動きがあり、自分の価値観が変化していくのを実感したと言います。
どんな内容でも、あたたかく受け入れる仲間たちの様子を見て、ほっしゃんはこう感じました。
「人は誰しも、胸のうちに秘めたものをもっているけれど、それをオープンにできる場は少ない。世の中の人が少しでもそれを受け入れようとする心の余裕や環境があれば、日常のちょっとしたギクシャクはなくなり、上手くいくのではないだろうか。」

人の心に響かせたい
新しい環境に飛び込んだほっしゃんには、悩みもありました。それは、「仕事に差し支えが出ないか」という事でした。仕事に影響すると会社に迷惑をかけてしまうことになると思い、悩んでいましたが、幸い仕事を上手く調整することができ、練習に全力で取り組むことができるようになりました。
それから、「権力者」というミュージカル作品での “大役” を任されたことで、「初参加の自分がどこまでやり切れるのか」「お客さんにしっかりと届けられるのだろうか」という不安もありました。
踊りが苦手だったこともあり、ほっしゃんにとっては大きな挑戦となりましたが、「踊れているよ!」と声をかけてもらったことで、自分自身の新たな一面に気づくことができたそうです。
そして、最大の葛藤でもあった「表現すること」では、ミュージカル映像を見て学んだり、自分の姿を動画で撮ったり、演出者に確認したりと、ひたむきに努力を重ねていきました。また、演劇経験のある仲間を頼り、仲間の存在の大きさにも気づくことができました。
「とにかく練習して、改善」と、努力を惜しまないほっしゃんの原動力は何なのか。それは、「観に来てくれる人の心に、何か響くものがあってほしい」という気持ちでした。

人生に「経験」というスパイスを!
自分でも知らなかった一面に気づかせてくれたり、支えてくれたりする仲間と過ごす中で、「一人では乗り越えられないことがある」と、改めて実感することができたほっしゃん。
たくさんの人の経験を知れたことから、1つの物事に対して色んな角度からの見方ができるようにもなりました。
そして、「人生に新しいスパイスを取り入れてバージョンアップする」ことが自分自身の人生のテーマになったそうです。
大人になると忘れがちな、「挑戦」するということ。
家と仕事の行き来で、他人を知る機会が少なくなってしまったり、「このままでいいのかな」と思いながら、なんとなく過ぎていく毎日。
そんな中で、挑戦することを選んだほっしゃん。
きっかけは小さな出来事に過ぎませんでしたが、「コモンビートに参加する」というスパイスが、サラリーマンであるほっしゃんの人生を味付けするものとなりました。
「次回もプログラムがあれば必ず参加したい。それくらい、コモンビートは楽しいです!」

『一人ひとりの小さな変化が、よりよい社会を創る。』
あなたも一緒に、ステージに立ってみませんか。ぜひ劇場にも足をお運びください。お待ちしています。