“自分らしく、たくましい個人を増やし、互いの多様な価値観を認め合える社会の実現を目指す” NPO法人コモンビート(以下、コモンビート)は、さまざまな年齢や職業の社会人・学生100人が集まり、お互いの個性を響き合わせて創り上げる「100人100日ミュージカル®プログラム」を全国各地で開催しています。
プログラム参加者の生の声をお届けする『人生アンサンブル』第18回は、第64期東京公演に参加した「山西咲和(さわわ)」にインタビューを行いました。このプログラムを通じてさわわはどのような経験をし、どんな学びを得て、その後の人生にどんな変化や影響があったのか。『人生アンサンブル』、スタートです。
「表現」で平和を伝えられる!
「戦争なんかするもんじゃない。そういう時代を創ったらつまらぬ。」
幼い頃から被爆者である祖母の話を聞いてきたさわわは、「おばあちゃんの体験や想いを多くの人に伝えていこう」と心に決めました。
国連で、祖母の被爆経験と平和についてのスピーチを行った際には、インドの外交官の方から、「あなたが伝えるから意味があるんだよ。」と伝えられ、被爆者の孫である自分が「これからも語り継いでいかなければならない」と平和活動に対する想いを再確認したそうです。
ただ、さわわには、平和活動を続けていく中での悩みもありました。
それは、被爆から80年という時間に阻まれ、戦争体験者がいなくなることや、若い世代に伝わりづらいということでした。「どうすれば平和を伝え続けられるのか」そう考えていたときに出会ったのがコモンビート。
「異文化理解や世界平和がテーマの舞台で、私の人生のキーワードとすごくマッチしていました」
すぐに興味を惹かれたさわわは、100人100日ミュージカル®︎プログラムへの参加を決意。時間の経過とともに薄れていく平和への思いは、「表現」や「楽しさ」を通して伝えていけるのかもしれない。これまでの活動に新しい風が吹いたのです。

刺激的な環境の中で
プログラムが始まり、年齢も職業も様々な大人たちがいる環境で過ごすことは、驚きや知らないことの連続で刺激的。これまでバックパック1つで世界を旅し、さまざまな価値観を持った人たちとコミュニケーションをとってきたさわわも、コモンビートに参加する中では、こんな思いを感じたと言います。
「日本の外で出会う人たちは、目の色、肌の色、言葉、ジェスチャーなど、わかりやすい「違い」があったから受け入れる準備ができていたのかな?」逆に、「日本の中で出会う人たちは、目立った違いがあまりないからこそ、「同じ」考えを求めてしまってはいないだろうか。」
仲間たちと過ごす中で、改めて「違い」について考え、自分自身へ問いかけるようになりました。

「対話」が繋ぐ、心と心
プログラムの中で、作品の戦争のシーンに気持ちをのせるためのワークショップがあります。対話やコミュニケーションを大切にしている活動だからこそ、お互いを敵とし争い合うこのワークショップは、辛く印象的だったそうです。
戦争って、正義と正義のぶつかり合いで起きるもの。それぞれが対話を諦めてしまったことで起きるもの。だからこそ、“自分はどんなふうに生きていきたいか?”、“どんな世界に生きていきたいか?”を、たくさんの人と対話を通して考えられるこの活動が、平和の心をつくる時間そのものなんだと感じました。そして、人生の背景を知ったり、人間らしい一面を見たりすることで、「年齢が上や下なんて関係ない。みんな同じ人間なんだ」と思うことができました。
これまで、さまざまな学校で「長崎原爆」の話や、「今と未来の平和」を考えるワークショップなどを行ってきたさわわですが、コモンビートに参加し考え方が変わっていきました。
『表現が生み出す楽しいの伝染力』を活かして、これからの平和を伝えていきたい!と強く思うようになりました。
平和の花を咲かせる人に
さわわの名前に込められた思いでもある「平和の花を咲かせる人に」。
高校生のときから伝え続けてきた、「戦争」や「平和」についての思いを、今度は「表現」を通して届け、花咲かせていくことでしょう。
「平和を目指すためには、まず、自分が心も体も平和であること。そして、どの世代の人も、どの性別の人も、どの国籍の人も、みんながまわりに関心を持つことが大切」だと語るさわわ。仲間たちと100日間を過ごすこのプログラムは、平和を自分事と捉え、行動に繋げられる機会にもなると考えました。
揺らぐことなく、この平和の思いを届けたい。コモンビートは、表現が生み出す「楽しいの伝染力」で、より多くの人に平和を届けることができる。
被爆された方達の思い、かつて戦争が起きた事実や、二度と戦争を起こさせないという未来を、今度は舞台から、より多くの人に伝えていきたい。途切れることなく、100年先も、200年先も...。
家族や大切な夢、守りたいもののために戦うのではなく、世界中の人たちが手を取り合い、平和に生きていけることを願いながら。

『一人ひとりの小さな変化が、よりよい社会を創る。』
あなたも一緒に、ステージに立ってみませんか。ぜひ劇場にも足をお運びください。お待ちしています。